主人公の瓜生(うりゅう)君は高校生ながら一人暮らしで、誰にでもついていって虚しい朝を迎えるような、退廃的な暮らし。
そんな中で現れたお隣の空木(うつぎ)くんと、あれよあれよと親密になり、今まで知らなかった自分の感情を知っていきますが…。
大まかなあらすじはこんな感じですが、このお話は詩というか散文?の形で書かれていて、非常に感覚的です。
韻を踏んだり言葉遊びをしたり、その世界観はとても立体的。物語の筋を追う一本道ではなく、脳みその色んなところが論理じゃなく刺激されて、こんなBL体験、キリキリしてうっとりする…!
若くして人生を諦観してしまっている瓜生君が、空木くんを知り、得たもの、失ったもの、そして涙腺崩壊のラスト。
とりあえず「何このかっこいいBL」ってため息出ちゃう、そんな作品です。
淡々と皮肉的、しかし、だらだらに甘えたがり……主人公・戸牧瓜生。傷つきながらも無自覚に寛容で、すっと他人との心の線引きをするような独自の繊細なルールを持って生きてらっしゃるとそんな気がします。
この一年、少しずつ季節が転回りたまに差し込んでくる違う色の光がちらほら見えてもしっかり繋ぎ止められない……、とても切ない気持ちが押し寄せてきました。心配ではらはら。私たち読み手は、そんな主人公の危うい魅力に落ちてしまうのだと考えます。じっくり堪能させて頂きました、続きも必ず読みに参ります。しかし制服の下の肉体・その下にある心ともに、実は凄まじいコミュ力をお持ちなのではと察知しました、瓜生さん末恐ろしいです……!笑