この作品は、作者【雪うさこ】様の壮大なストーリーの一角であり始まりの物語かもしれません。
ある自治体にある星音堂(せいおんどう)という音楽ホールに配属された新人市役所職員のお話です。
市役所職員にとって『流刑地』とも呼ばれるそのホールでの勤務は、地獄……ではなくとっても楽しそうなパラダイスでした。そこで、主人公蒼(あお)は一人のヴァイオリニストと出会います。まだまだ彼らのラブストーリーは始まったばかりなのですが。
この作品は、作者様の音楽への熱い想いが随所に散りばめられている事が特徴です。各章の前説にはクラシック音楽が添えられていますし、キャラ達に投影されている音楽への愛も半端なものではありません。
私はこの作品を読んで、音楽人としての大切なモノを受け取りました。
作者様に、この作品に、心からの感謝を伝えたいです。
素晴らしい音楽ホールの仲間たちと作者様に、最大限の喝采を送ります!!
音楽ホールを舞台に繰り広げられる地方公務員の人間模様を描いたお仕事&青春小説です。
流刑地と呼ばれる音楽ホールに配属されてしまった新米公務員の蒼とドイツ帰りのヴァイオリニスト関口。それぞれの悩みを抱える二人が喧嘩をしながらもお互いの成長を助け合い、少しずつ信頼を深めていくさまが丁寧に描かれています。相手の領域に踏み込むのではなく、おのずから大事なことに気づかせてくれる存在とは、かけがえなく有り難いものだと思わせてくれました。
音がこちらに迫ってくるような演奏シーンの描写。音楽を何も知らない蒼の視点のおかげで、素晴らしい演奏を聴いた時の純粋な驚きと感動が読み手にもしっかりと伝わってきます。
周りを支えるホールの職員ひとりひとりも素敵です。個性的でちょっと曲者で、そのやり取りはドラマを見ているように楽しい気持ちになります。
音楽愛がいっぱいに詰まった爽やかな物語。とても気持ちの良い読後感を味わえました。
市役所の本庁勤務に憧れていたフレッシュ公務員熊谷蒼君の配属先は、題名通り、蒼の思い描いていた行政職とかけ離れた、流刑地と言われる音楽ホール星音堂。
曲者だけど魅力的な職員達と、慣れない仕事を頑張っていた蒼は、ヴァイオリニスト関口蛍と出会い、最悪な第一印象を抱きます。
二人は最初は反発しあいますが、それぞれの抱えているもの、心根を知るうちに、誤解も解けて・・・その後の展開は是非読んで頂きたいです!
公務員の方々は、こうゆう仕事もやってくださってるんだなと知ることができて興味深いですし
音楽をやってきた雪うさこ様だからこその表現、描写。演奏家にとって上手いなんて当たり前で、その先を目指す者の孤独と苦悩。
実際に関口君や登場する音楽家の方々が演奏している曲を聴くと、さらにこの作品の奥深さにハマっていきます!
新米公務員・蒼が配属されたのはある市運営の音楽ホール。
ちょっと変わった(本庁からちょっと離れた)愉快な職場で、蒼の初々しい公務員ライフが始まります!
まず、「そうか、これって公務員のお仕事…!」というところから、もう目ウロコでした。
私もかつて趣味で音楽をかじってまして、こういった音楽ホールにはあちこちでお世話になったんですが、このお話を読むまで考えたこともなかったです。
こういった職員さんたちの尽力があるからこそ、みんな充実した音楽ライフを送ることができるんですね。
お仕事内容はどれも興味深いものばかり。
職場の先輩は個性あふれる愉快なおじさん・お兄さんたち。
音楽はわからないけど何ごとも一生懸命な蒼は、あれこれ大変な目にも遭いますが、仲の良いヴァイオリニストのお友だちもできちゃうんです。
音楽があふれるお仕事風景に、キャラクターそれぞれの事情や情熱などが絡み合い、読み応えある「男たちの群像劇」となっています。
たくさんの笑顔と涙と友情が響き渡るこの音楽ホールに、ぜひ一度足をお運びください。
さあ、開演のお時間です!
星音堂という音楽ホールを舞台に、様々な人が織りなす人間ドラマです。
音楽を聴くのはすごく好きだけど、楽器が出来たり歌がうまかったりするわけでもない私。憧れとともに、嫉妬や劣等感、疎外感さえ感じてしまう音楽のプロが集う世界…。
作者のうさこ様もほぼプロ並みの博識で、作中でも専門用語や音楽論が飛び交いますが、しかし、主人公の蒼(音楽の知識ナシ)をはじめ、音楽をこじらせた人、夢半ばで他界してしまった人、下手の横好き、偉大な音楽家の親を持って葛藤している人など、ただ「音楽って素晴らしいでしょ!?弾けるとかっこいいでしょ!?」というドヤァ!じゃない視点がたくさん出てきて、あっちからこっちから、「音楽は、色んな立場からそれぞれ楽しむもの」という、多角的な在り方を提示してくれます。これが本当に有難いし、真理だと思います。
星音堂で職員として働く蒼くんと、そこに演奏の練習に訪れる関口くん。音楽の在り方と、家族や人生に葛藤を抱える二人の青年の在り方がリンクしたり対比となりながら進んでいき…最後のコンサートの後の雪融けは本当に天晴れでした。
音楽好きな人はもちろん、こじらせている人にもぜひ読んで欲しい作品です!!
主人公の蒼は流刑地とささやかれる、音楽ホールに配属された。
そこには、個性あふれる男性職員ばかりで……
音楽の知識ゼロの蒼はとまどうばかり。
もう、毎日がブルー。そんな日常が、季節の移ろいとともに少しづつ変化していきます。
様々な人との出会い、職員たちとの一筋縄ではいかないおつきあい。
そして最大の出会いは、ドイツ帰りのヴァイオリニスト関口蛍。
彼と、お互いの背中を少しづつ押しながら、前進していきます。その姿が親友以上の感情を含んでいそうで、含んでなさそうで……微妙な心情をモダモダしながら読み進めたら……
最後、流刑地だった音楽ホールに立ち、蒼がみた風景をみなさんもいっしょに体感してください。
きっと、ブルーな風ではなく音楽の調べを含んだ、豊穣な風が心の中を吹き抜けることでしょう。
流刑地と呼ばれる星音堂へ配属された新入社員、熊谷蒼。
市役所に就職したはずが、外れの音楽ホールでの勤務になってしまった。ここはもう本庁には戻れない流刑地だという。
がっかりする蒼だったが、でも、その職場、私からみればとっても素敵な職場なんです。
一癖も二癖もある職員がいて、なんやかんやと事件が。
それぞれが、それぞれの人生を抱えており、笑ったり悩んだりという市井の生活が丁寧に描写されています。
星音堂に慣れてきた頃、音楽家への道を閉ざした関口といういけ好かない男との関係が変化、ふたりはお互い最高の理解者へと発展していきます。
続きは本文でお読みください。
とある地方都市にある市立の音楽ホール。
主人公の市役所職員・熊谷蒼がそこに配属されたところから始まる朝ドラ風ヒューマン・ドラマ。
いや、この主人公、近年まれに見るめっちゃ良い人。ザ・新人、って感じ。
ちょっと素直すぎて、騙されやしないかと不安になるくらい。
だって周辺の人々が、誰もかれも、なかなか癖のある様子。
担当課長の水野谷、課長補佐の氏家、主任の高田、副主任の星野。
食いしん坊の尾形、教育係の先輩・吉田。
しかも、皆、本庁から流されてきて、盆栽に新聞、タバコ、お菓子、スマホと、どこか昼行灯で、流刑地というよりは、全員窓際族って感じで楽しそう。
仕事は手を動かす系で、音楽ホールの運営まわりの細々した雑務中心。これがなんともリアリティあって、よかったです。
この先どうなっちゃうんでしょうかね?
(第1章11話まで読んだ感想です)