音楽愛がいっぱいのお仕事&青春小説

音楽ホールを舞台に繰り広げられる地方公務員の人間模様を描いたお仕事&青春小説です。
流刑地と呼ばれる音楽ホールに配属されてしまった新米公務員の蒼とドイツ帰りのヴァイオリニスト関口。それぞれの悩みを抱える二人が喧嘩をしながらもお互いの成長を助け合い、少しずつ信頼を深めていくさまが丁寧に描かれています。相手の領域に踏み込むのではなく、おのずから大事なことに気づかせてくれる存在とは、かけがえなく有り難いものだと思わせてくれました。
音がこちらに迫ってくるような演奏シーンの描写。音楽を何も知らない蒼の視点のおかげで、素晴らしい演奏を聴いた時の純粋な驚きと感動が読み手にもしっかりと伝わってきます。
周りを支えるホールの職員ひとりひとりも素敵です。個性的でちょっと曲者で、そのやり取りはドラマを見ているように楽しい気持ちになります。
音楽愛がいっぱいに詰まった爽やかな物語。とても気持ちの良い読後感を味わえました。

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