不条理だらけのこの世界で、誰かの選んだ道と繋がる未来のその先に。

社会人として、新たな一歩を踏み出そうとしていた主人公の敬介。
両親を早くに亡くし、施設で育った彼は妹のいおりのために働こうと、大学への進学を諦めて就職を選んだ——。

物語はそんな現代の兄妹の一場面から始まります。
しかし、突如として妹の発した不思議な言葉と共に、敬介は自分の住む世界とは全くの別世界へと飛ばされてしまう。
そこは二つの神と、その対立によって悲しい歴史が繰り返された場所だった。

いわゆる異世界転移もの、とはまたひとつ違った始まりから、物語のもう一人の主人公とも言えるティスタという兵士の記憶へ場面は移ります。
主人公と同じ目線になって世界を知ろう、妹を探そうと読んでいくと徐々に全てが繋がっていくという展開がとても面白いです。

初めて人を倒す剣をその手にとる等、沢山の決断を下し、一歩一歩強くなっていく敬介と飛ばされた先の世界で出会ったリラ王女やエダーとの関係も必見。
また、"白"と"黒"と対照的な陣営に見えますが、敵の抱えたモノが垣間見えるのも、一概に只の悪とは言えないところがまたこの世界の不条理なのかとも。

妹の正体は一体なんなのか。
この世界は白と黒のどちらかで染まりきるまで、この不条理な連鎖は止まらないのか——。

是非、彼らと一緒に旅してその行く末を見届けてほしいです。

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