第43話

「ところで、この旅はどういう目的なのでしょうか?」


朝食を皆で食べていると昨日仲間入りをした聖剣フロッティが聞いてきた。


そう言えばダンジョンの帰りに色々話はしたけどそのことについては話してなかったな。特に隠すことでもないし話してもいいか。


「俺達は世界最高難度と呼ばれるダンジョンの攻略を目的に旅をしてるんだ。

今まででエルフのと獣人のダンジョンをクリアしたから、後は人間、竜の国と魔大陸の3つが残ってる。次はー人間の国に行く予定だ。」


「封印指定級ダンジョンの攻略ですか!それなら、ティル以外の皆に会えるかもしれませんね!」


「ま、まあそうかもね…」


「ティル?」


フロッティの話からするとやはり二人以外にも神話級の武器があるようだ。

しかし、前から思ってたけどティルはこの話になると歯切れが悪くなるな。

話したくないことでもあるんだろう。


「ま、まあそう言うわけだから次は、というか早速今日から人間の国に行こうと思ってるよ。」


「人間の国ですか~!?初めてですね、楽しみです~!」


「うん、じゃあ朝食を食べ終えたら早速出発しよっか!」


なんとか強引にだが話をそらすことに成功した。

ふう、かなり強引だったけど俺にしてはナイスフォローだろ。


朝食を食べ終えて、出発の準備をしていると剣状態のティルが声をかけてきた。


「マスター、さっきはその、ありがとうね。気を遣ってくれて。」


「うん、これくらい全然だよ。それより、もし話したくなったらいつでも聞くから。」


「うん、分かった。その時はよろしく頼むわね。」


久しぶりにティルがデレてくれたことに内心喜びつつ準備に戻った。



「皆さん準備は出来ましたかー?私は出来てます!」


皆も準備は出来ていたようなので早速転移を使用し向かうことにする。


人間の国か~、つい最近までいたはずなのに随分懐かしい気がするな~。

ロイさん元気かな、着いたら早速挨拶に行こう。





転移が終わったのでまずロイさんの所へ挨拶に向かうと、


「お~!久しぶり…というにはまだ早いな。それより、元気そうで何よりだ!

しかも前より綺麗どころが増えてるじゃないか!前に購入するって言ってた奴隷二人か~。どっちもべっぴんさんだなぁ。ん?見慣れないこが更にもう一人いるのか。全くお前は罪なやつだな~ハッハッハ!」


「ははは、まあ成り行きみたいなものですけどね。それより、ロイさんも元気そうで良かったです!」


テンション高く歓迎してくれた。 


「うわ、またアイツ来てるし!もう面倒な仕事に巻き込まれるなは勘弁だしー!」


……一部歓迎してくれない人もいたけど。


「主様、この馴れ馴れしい人間は誰ですか!?」


そういえばロイさんと別れてから二人を購入したから会ってなかったんだっけ。


「こらこら、ロイさんは俺が世話になった人なんだ、あんまり失礼なこと言わないでくれ。それに、リーシアとアノンを翌日に購入しに行けたのもロイさんのおかげなんだよ。」


そう教えてあげるとリーシアはすごい速さで謝罪した。


「主様の恩人だったとは露しらず失礼な態度をとってしまい申し訳ありません。それに、あなたのお陰で私達はすぐ買っていただけたのですね!

感謝致します。」


「私からも、ありがとう、人間のおじさん。」


「いいってことよ!それにそんな堅苦しいのはやめてくれ。コイツの仲間なら信用もできるし普通にしてくれ。

それより、封印指定級のダンジョンに行ったと思っていたが、うまくいかなかったのか?」


え?なんでそう思うんだろ?


「えっと、うん?」


俺が困惑していると、恥ずかしくて答えれないんだと勘違いしたのか変なフォローをされた。


「いや、別に恥じることじゃないんじゃないか?

封印指定級のダンジョン攻略と言えば前人未到の偉業だ。そう簡単に行くものではないだろうし、諦めるのも仕方ないだろう。」


どうやらダンジョン攻略に失敗して戻ってきたと思ってるらしい。

俺が誤解を解こうとする前にティルが横から出てきた。


「ホントにアンタは鈍いおっさんね!ダンジョンならもうクリアしたわよ!

しかも二つね。」


「おいおい、いくらなんでもそんな冗談には騙されんぞ。流石に冗談だよな?」


ティルの言葉を笑い飛ばしたあと、俺に同意を求めてきた。


「いや、ティルの言った通りもうクリアしてきましたよ。二つ。それで次はこの国のダンジョンを攻略しようと戻ってきたんですし。」


「…………え、マジなのか?ホントにクリアしてきたのか?嘘だろ?」


本当に信じられないという風にそんな言葉を繰り返す。

そうは言っても事実だしなぁ。あっ、そうだ!


「実は一つ目のダンジョンでは何も手に入らなかったんですけど、二つ目のダンジョンでティルと同等の武器を手に入れました。」


そう言ってフロッティを紹介する。


「あの、聖剣フロッティと言います。ご主人様のご主人様がお世話になっているそうで、あの、よろしくお願いします!」


「いや、普通に可愛いだけの女の子じゃないのか?」


まだ疑っているようだったので、手っ取り早く信じてもらうことにしよう。


「フロッティ!剣になってくれ!」


「あ、はい!分かりました。」


そして、すぐ剣の状態になる。


「人化できる武器なんて神話級の武器くらいしかないですよね?

これで信じてもらえました?」


そう言いながらロイさんの方に目を向けると、


バン!


白目を剥いて気絶していた。


「はぁ~、やっぱりアイツが来ると仕事に影響が出るんだろうなぁ~。

ツラミ。」


ギルド長が倒れザワザワしている中、サリナさんのぼやきだけがなぜかはっきりと聞こえてきた。




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