第30話
アノン「誰の声!?」
不意に聞こえてきた声に皆が身構える。
まあ普通に考えたら新手が出てきたと思うよな。
でも俺はこの声の主を知っている。
翔「お久しぶりですね!天使様!」
そう、声の主は俺をこの世界に連れてきて、かつやり過ぎなほどの能力をくれた天使様だった。
天使「あれれ?バレてたの?」
翔「恩人である天使様の声を忘れるわけないですよ。」
俺達が親しげに話していたことで警戒を解いた皆だったが、今度は俺と天使様の関係が気になっていたようだ。
ティル「この声の人は誰?マスターの知り合いなの?」
そうティルが聞いてきた。こういう時に質問をしてくるのが珍しいので少し驚きながらも俺と天使様の関係を話した。
翔「この人は俺がこっちの世界に来るきっかけになった天使様だよ!
他にも色々お世話になったんだ。」
天使「そんな大したことしてないよ~。でも素直で良い子だからちょっとサービスしてあげたんだけどね!」
それを聞き皆はかなり驚いていた。
カンナ「え!?翔さんってこの世界の人間じゃなかったんですか!?」
リーシア「聞いたことがあります。ごく稀にこの世界に異世界からの使者が現れると、そしてその使者は皆かなりの強さを秘めていると。」
アノン「これで納得できた、翔の強さは異常だから。」
カムイ「……俺はとんでもないやつを敵に回そうとしてたのか。今生きてるのが奇跡だな。」
あれ?俺が元々この世界の人じゃないって言ってなかったっけ?
あ、そういえば言ってなかったな(笑)
だって聞かれなかったし、しょうがないよね!
天使「でもすごいね、君!この世界でも最高難度のダンジョンをこうも簡単にクリアしちゃうなんて!」
翔「あはは、まあほとんど天使様のくれた能力のおかげなんですけどね。」
そう本心を告げると、
天使「もぅ~~!!謙虚なんだから!そんな子にはまた何かあげちゃう!
って言いたいとこなんだけどね、上の人に怒られちゃってしばらく何もしてあげられそうにないの…ごめんね。」
また何かをくれようとしていた。
ていうかやっぱりやり過ぎだったんだな。
なんか申し訳なくなってきた。
そう思っていると天使様は勘違いしたのか
天使「あ、落ち込まないで!ちゃんと考えがあるから!
私が昇進したら権限が増えるから、またその時になにかしてあげるからね!」
そう言ってきた。
俺が天使様から能力を貰えないと聞いて、凹んでいると思ったらしい。
俺のことなんだと思ってるんだろう…
それは置いておいて、天使様はなんでまた声をかけてきたんだろうか?
翔「天使様、能力云々について別に気にしてないのですが、今回は何のために連絡してくれたんですか?」
天使「あ、そうそう!君に話をしに来た当初の目的を忘れるところだった!
封印指定級ダンジョンを一つクリアした人には連絡しなきゃいけないことがあるんだ!
ん、んー!」
天使様はもったいつけるように咳払いをする。
そして、思いもよらない提案をしてきた。
天使「君は元の世界に戻りたくはないかい?」
その提案は俺にとっては最早意味のない提案だった。
しかし、なぜそんな話が出たのかは気になった。
翔「別に戻りたいなんて思ってはいないですけど、それはどういうことですか?」
すると、天使様は丁寧に説明してくれた。
天使様曰く、この世界に来る時に元の世界に帰るのは不可能と言ったがそれは意地悪で言ったのではなく、元の世界へ魂の状態で移動するのはかなり負荷がかかり、魂が消失してしまうからだったらしい。幸か不幸か俺の元いた世界は特殊らしく特に魂の強度を必要とするため、移動に負荷がかからないこの世界に転移させたらしい。
しかし、この世界にある封印指定級ダンジョンを全て攻略できるくらいまで強くなれば移動の負荷に耐えれるため元の世界にも帰れるよ!どうする?
という提案だったみたいだ。
俺は元々未練なんてないし、こっちでの生活も楽しいからそんなことは考えてなかったがただ一つこちらの世界にも不満があった。
それは元いた世界の娯楽ができないことだ。まあ当たり前なことだが、俺はあの世界の娯楽は好きだった。だからそれをこっちに持ってきたり、自由に世界の行き来ができないかと考えた。
翔「元の世界に戻ってもこっちに帰ってこれたり、物を持ってきたりできますか?」
ダメ元で聞いてみる。
天使「問題ないよ!物に魂なんてないし、一度負荷に耐えれたならもう消失の危険はないしね!」
俺は心の中でガッツポーズを取った。
これでこちらの世界とあちらの世界の良いとこ取りができる!
にししし、と思っていると
リーシア「天使様!世界の移動は私達にもできないのでしょうか?」
リーシアが大胆な質問を天使様に投げ掛けた。
後書き
読んでいただきありがとうございました。
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