静謐な世界の中で紡がれる上質なファンタジー

過去の大戦による因縁の残る、仄暗い雰囲気の世界。
入念に考え込まれた設定の土台の上で、主人公であるディルを取り巻く緻密な人間関係とその運命を巡る旅が描き出されています。

ディルは触れればすぐに壊れてしまいそうな繊細さで、その儚さと無防備さに惹きつけられます。また、ディルが気になる男性陣との三角関係の描き方が非常に巧みで、「ディル、気がついて!」とやきもきしたり「ロイ…」と切なくなったり。

設定や人物描写が細かいところまで書かれているのでまた少し日を置いてから読むと違った印象になりそうだなと思いました。

個人的に、ディルがよく「少し、眠ってもいい?」とか二分節でだけ言葉少なめに話す感じがすごく好きでいいなあと思ってます。

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