第11話 混沌(6)

中学一年生にして、

【ロンリー】

などというあだ名をつけられていた私。

言葉通り、私は同級生に馴染むことが出来ず、ひとりぼっちだったのだ。


中学二年生になると、二人の友人に恵まれたが、

どうしても心を開く事が出来なかった。

人を信用して、

裏切られるのがとてつもなく怖かった。

表面上だけの付き合いしか出来なかったが、

二人の友人には心から感謝している。

学校へ行く事が出来なくなってしまった私に、

ケーキを持参して、

学校へ来るよう、話に来てくれた。


中学二年生の私は、

父から浴びせられる否定的な言葉によって、

自信を完全に失くしていた。

父は学校へ行くよう、

私にお説教をしてきたが、

学校へ行くことが怖くて仕方がなかった。

いついじめが本格化するとも分からない。

かと言って、

自宅に引きこもり続ければ、

父からの暴言が悪化するだけなのは明確だった。

逃げ場がなく、

八方塞がりの状態に陥っていた。


しかし、

友人二人は、

上辺だけの付き合いしか出来ない私を見捨てなかった。

『学校で待ってるよ』

と、話してくれた。


私は意を決し、

中学校の門をくぐることを決意した。


震える手で、

学校へ行く準備をする。

友人たちを心から信頼出来ることは出来ない。

それでも、

私は臆病な自分と闘うことが必要だと感じた。


小心者の私の踏み出した、

大きな一歩だった。

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