第4話 回想(3)
大人の顔色をうかがう癖が抜けないまま、
幼稚園を卒園し、
小学校への通学が始まった。
思えば、
この頃から随分と変わった子どもだったかもしれない。
人見知りをすることもあれば、
大胆に話しかけることもある。
行動や思考が一貫しない。
ただ1つ、
同級生の顔色までもうかがうということが、
私の心を蝕んでいった。
小学生の頃の写真を見ると、
笑顔でピースをする自分が写っている。
ただ、
ひどく疲れた顔をしていて、
目の下にあるクマが、
当時の心境を物語っているように感じる。
この頃から、
父のスパルタ教育が始まった。
毎日のノルマは、
学校の宿題とは別のドリルを解くこと。
そして、
お稽古として習い始めたそろばんの練習をすること。
宿題を済ませ、
ドリルを解き、
そろばんの練習をする。
自由に遊べる時間が少なく、
友人と遊ぶことも難しい状況。
それでも、
怒られることの恐ろしさから、
指示通り勉学に励んだ。
自分の希望は分からない。
ただ、
怒られたくないという気持ちだけが明確で、
しんどくてもノルマをこなした。
決して褒められることはなかった。
最近になって、
褒めないということが、
父の教育方針であると知ったが、
どれだけ頑張っても褒めてもらえない中で勉学に励むのは、
当時の私には拷問のようだった。
自宅に帰ることも億劫で、
家族と接することが、
地獄のような時間だった。
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