第8話 ハミングバード

 狩人のアルクさんから教わったハミングバードの訓練方法は割と簡単なものだった。


 村にきて、1ヶ月程で、傷が治ったハミングバードであったが、傷が治ってからは、放し飼い状態になっており、朝と夕方におやつをあげる程度の世話しかしていなかった。日中は勝手にエサの蜜を取りに行っているのだろう。

 そもそも、いまだ名前を付けていないのもかわいそうになり、まずは絆を深めるためにも名前を考えることにした。

 手に乗せてじっくりハミングバードを観察する。


「うーんっ」


 いざ、考えてみるとなかなか思いつかない。実家では、グッピーなどのアクアリウムをやっていた程度で、名前を付けるようなペットを飼ったことはなかった。


「どう見てもハチドリだし、”エイト”か”ハッチ”だな」


 単純な名前だが、眺めているとそんな気分になってきた。


「よし。”ハッチ”に決まりだ」


「ピッ、ピッ」


 教わったハミングバードの訓練は実に簡単なもので、敵意を知らせた際にどう飛ぶかを訓練するだけであった。狩人さんはそれ以外の調教方法はあまり知らないとのことだった。ハミングバードは数も少ないらしいから、仕方ないのかもしれない。


「ハッチ 敵意を感じた時には右回りに飛んでくれ」


 蜜を上げながら、誘導して、まずは、飛行方法をならしていく。これがうまくいけば、実際に敵意を感じる相手の前で同様に飛ばしていけば、敵意を察知したときに飛んでくれるようになるらしい。


 次の狩りには同行させて、敵意察知の訓練をしてみるか。

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いきなり転生 ねむりのもり @nemurinomori

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