いきなり転生

ねむりのもり

第1話 いきなり転生

 熱い夏の日の夕方だった。僕は、アイスコーヒーを飲みたくなり、コンビニに行ったんだ。まさか、こんなことになるとは。


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「ここは・・・」


 気が付くとそこは、森の中だった。大木が生い茂るこの森は、ヒノキのような清々しい匂いに包まれている。誰かいないかとあたりを見回すも誰もいない。


「僕以外、誰もいないか・・・」


 僕こと、鈴木スズキ 隆盛リュウセイは、東京に住んでいる普通の大学生だ。頭が良いわけでも、悪いわけでもないが、どちらかというと勉強はあまりしないで育ってきた。それでも、ここは、家の近くの森ではないことが分かった。


「なんだここは、確かアイスコーヒーを買いに行ったはずなんだけど・・・」


 誘拐?まさか、そんなことはあるまい。この世ですごくアンラッキーなやつでもそんなことには巻き込まれないだろう。


 とにかく荷物を確認しよう。鞄には、スマホがあったはずだ。


ガサゴソ・・・ガサッゴソ、鞄を調べるがスマホは見当たらない。


 スマホのかわりにあったのは、水筒と干し肉だった。なんでこんなものがあるんだ。これはどういうことだろうか。とりあえず喉も乾いたことだし、飲むか。


ゴクッ、ゴクッ、と勢いよく飲む。


「とりあえず、周りに人がいるか探すか。」


 誰もいないのに不安からか声が出てしまう。どちらに行くべきか考えていると、一羽の小鳥が花の蜜をすすっている姿が目に入った。


!?!?」


 僕は、生き物が好きで、よく動画サイトで動画を見ていたが、あの特徴的な空中でホバリングするような独特な飛び方はおそらくハチドリだろう。


 あれは、日本にいないはずだ。


 そう思っていると、なぜか、小鳥の方に手を伸ばすと鳥が近くに寄ってきた。

 まさか、手にとまるとはな。そう思いながら近くで観察してみると、どうやら怪我をしているようだ。蜜をめぐってほかのハチドリと喧嘩でもしたのかと思いながら、ハチドリを見つめると目が合った。

 一瞬だったのか、長かったのかはよく分からないが、その時は、確かになにか通じるような気がしたのだ。あくまで、気がしただけだっだが、このハチドリを放っておくのにはしのびがたくなり、水をあげて看病してやることに決めた。そして、手の甲に乗っていたハチドリを胸ポケットに入れてあたりを探索することにした。

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