第5話 槍術士②

 日課である訓練をしに師匠の稽古場へ行くと、新しい槍をもらった。


「今日からは金属刃のついた この直槍で練習をしてもらう。そして、槍術の肝を教える」


「はいっ!! 師匠!!!」


 ついに槍を突く時が来たと思うと、シンプルにうれしく挨拶にも気合が入る。

 これまでの走り込みと構えだけの地味な練習がとても退屈でつらかったのだ。


 ここまで、長かった。長すぎたのだ。


「槍に大切なのは3つだ。外へ円を描き敵の武器を払う ラン。内へ円をえがき敵の武器を抑える ナー。そして相手の隙を攻撃する突き チャーだ」


 そういうと、師匠が槍を構え、槍を繰り出した。


「リュウセイもやってみろ」


 いわれたとおり、槍を構え、やってみるが、回転が遅く、ぎこちない。


「もっと、スピードをつけて、相手が攻撃してくることを想定しろ」


「はい。師匠」


 相手の槍を想定し、回転のスピードを上げて、ラン、ナー、チャーを繰り返し行う。


「そうだ。なかなか筋がよさそうだ。体幹にぶれが少ないのも、構えを一生懸命やったおかげだな。」


「ありがとうございます。師匠」


 ここにきて、地味につらかった練習の効果がでてきたようだ。手を抜かなくてよかった。


「あと、チャーの踏み込みが甘い。こうやるんだ」


 ダッ、ズンッ!


 師匠の動きは洗練されており、足の踏み込みとともに、槍がしなり、空を穿つ。


「すごい・・・」


「これができれば、最低限の槍術の動きができるようになる。踏み込みの時の腰使いを意識しろ」


「ようやく終わりが見えてきたのか」


「いや、槍術に終わりなどない。訓練しろ」


「はい。師匠」


 少し怒られてしまったが、ようやく技の習得に向けて練習できると思うとうれしかった。


 その後も、毎日、毎日基本動作を繰り返し練習した。




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