概要
どうしても思い出せないのだ。あの時の母の顔が――
普段は真面目なホームレスとしてゴミ箱漁りや空き缶拾いに勤しみ、夜には非合法の「蹴られ屋」を営んでいた私は、ある男の財布から手に入れた免許証を見て一つ妙案を思いつく。普段は宵越しの銭を持たない私だが、このチャンスを掴むために今回ばかりは自己投資を行うことにした。己の閃きに酔いしれていた私はこの時まだ想像もしていなかった。
死にかけていた私の未来が、あんな事になってしまうとは。
死にかけていた私の未来が、あんな事になってしまうとは。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!最初から最後まで、徹底して描かれなかった「私」
ホームレスとしての生活を送る主人公が、他人の免許証を手に入れたことをきっかけに、逆転のためのひと勝負に打って出るお話。
しっとりとした手触りの、シリアスな現代ドラマです。あらすじからして上手いというか、綺麗に要約されているのにしっかり読みたくなるポイントが盛り込まれていて、その上でこのキャッチコピーというのがまた最高でした。ちゃんとあらすじとは違う仕事を担っている感じ。いきなり本文以外の枝葉について語ってますけど、でもこの辺は作品の顔にあたる部分というか、のっけから期待が高まった状態で読ませてくれるお話って本当に好きっていうか人間は顔が八割だと思います。
この先、思いっきりネタバレにな…続きを読む