庶民の視線で綴られる戦国模様

突然戦国時代にタイムトリップしてしまった主人公とその姑。語り手が男性ではなく女性であるところがまず面白いです。現代を生きる「普通の主婦」が、リアルな世界では天敵であるはずの姑と力を合わせて生き抜かねばならないというシュールな設定もユニークです。

戦国時代という状況にあたふたし、あまりの生き方の違いに唖然とし、姑や周りの人間の突飛な言動に思わずツッコミを入れる主人公のナレーションがとにかく笑えます。そして何より歴女である自分の強みを生かして活躍する姿はたくましい。
有名な武将ではなく、貧しい庶民の目線でこの時代が語られるところがとても新鮮です。細やかな生活描写、戦場の有り様、季節感、色んなものが丁寧に綴られ、その場の空気を読者と共有してくれます。

歴史ものは難しそうだと苦手意識を持つ人も多いかも知れませんが(自分もその一人でしたが)、この作品はそういった先入観を吹き飛ばしてくれます。
筆者の歴史愛がヒシヒシと伝わる愛情の籠った作品です。どうぞご一読ください。

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