第十話 ガソリンスタンドのヒーロー

そうして学校では沙月ちゃんが奮闘していた頃、

街では騒ぎが広がっていた。


福岡市の中心の街のひとつ、天神のガソリンスタンドでは

巨大なモンシロチョウと格闘が始まっていた。


「危ない!先輩!!!」襲われる仲間をかばい、

水道のホースで、巨大なモンシロチョウに、水を浴びせるスタンドの店員


水攻撃に驚き、チョウは空高く逃げ去る。


「ありがとう 助かったよ 寺崎くん」

白い歯の煌めきが似合う二十歳前後の好青年(寺崎くん)。


「ぼっちゃっまああ」

スタンドの影で見守る

執事スタイルの50才前後の男が一人とその傍にもう一人

身体にぴっつちりとフィットした高級そうなスーツの

30代から40才前後の女性


「ぼっちゃま御立派ですわ アルバイト先のガソリンスタンドを

しっかり、お守りになられた


あああ・・・それにしても私の特注のクリスチャンデイオールのスーツが

水びたし、染みにならないかしら?」


「ふう、それにしてもひどい騒ぎですね 先輩」「そうだな寺崎くん」


すぐガソリンスタンドの横の道路を大型バスのサイズ程の青虫がゆっくりと

通りすぎる。


その青虫は、近くに止まっていた高級車、銀色のロールスロイスに噛み付き、

まるで、八百屋のキャベツを食い荒らすように

ぼりぼりと音をたてて食べていた。


「ああああ!!!大変! お借りした会長の車がああああ」慌てて車に駆け寄る


先程の怪し気な執事と高級スーツの女性のコンビ


「おい!大変だ!今、電話で、連絡があった

 本社が蛾(が)に襲われてる!」


それを聞き、ダッシュで駆け出す、白い歯が輝く好青年の寺崎 隆次くん


近くの駐車場に停めていたフェラーリに飛び乗り 車で30分程の距離にある

本社を目指す。街は混乱の極みにあった さまざまな大小、巨大な虫が暴れていた

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