福岡のタワーと会社

天神福岡駅は半壊、そばのショピング街、新天神も崩壊。

近くの赤坂門、大濠公園にも巨大なアリが闊歩していた


「松野さん、今日の赤坂門で、開催予定の絵の個展

中止?」


「寺崎まゆさん、ドームのイベントの打ち合わせ済んだら、

こっちに絵の展示に来るはずだったけど、

ドームも大変らしいよお?」


海の近く、福岡タワーの近くにあるシーホークホークホテルの隣


野球の試合が始まる予定の福岡ドームにその蜘蛛よりも、ひと回り

巨大な青虫が、こちらも自分のまわりに糸をはいている 


「きっと、『さなぎ』になって、羽化するんだ」


「我々も『さなぎ』に同化されるんだあああ」と泣く


「寺崎くん、落ち着け」

「富さんん 村野ロビン提督?!!権ノ藤艦長!!間野司令官!!!

 副艦長おお!!!キラさあああんん、 皆あああ」

「彼女、大丈夫か?」 「かなり動揺してますね」と技術主任の佐々岡さん


寺崎と呼ばれた娘は、うっかり逃げ遅れ、

青虫の吐く糸に巻き込まれてしまい、全身をねばねばした青虫の糸で覆われ、

地上十メートル以上の高さの所にいた。


実は、彼女はちょっと変わったコスチュームを着ていた


「た、高いよおお こ、恐いよおおお でも、でも一番ショックなのは

 一番のお気に入りの服、私の映画のスーツが

ボロボロ? 


とっても有名なSF映画とドラマ

(未来の宇宙が舞台、さまざまな宇宙人と出逢い

探査を目的とした宇宙船が活躍する話)


映画104作目の記念イベントの応募プレゼント


はがきで応募して当てた大事な映画の衣装なのに

ファンとしては悲しすぎるううう」


うん、うんとうなずく、彼等もまた、全員、

映画のコスチュームを着用していた。


「明日のファンのイベントの準備とリハーサルをかねて、

福岡ドームに来ていたんだが 大変な事になったね

しかも、寺崎さん 巻き込まれてしまって」


「どうしよう」「あいかわらず、とろい、とろいぞ、彼女」


「うわ?ん、誰か助けてええええ お兄ちゃ?んん」


「寺崎さんのお兄さん?」


「なんでも、天神のガソリンスタンドでアルバイトしてる

白い歯と爽やかな汗が似合う、背の高いかっこいいい兄さん?」


「おにいちゃ?ンン」  


が、しかし 迫りくる青虫の大軍をよけながら

フェラーリを華麗に、たくみな運転で、飛ばす 


好青年『寺崎』くん、こと彼女の兄は・・・

まったく、きれいさっぱり、妹の事などを忘れ果てていた。


「綾香ちゃん」


脳裏をよぎる、まだ幼さが残る面だちのどこかはかなげ儚気な、かれん可憐なOL


好青年『寺崎』くんのフェラーリを追い掛ける


青虫に半分程食べられた、銀色のロールスロイス


「ぼちゃままああ?!!」「執事の五丈原さん!大丈夫ですかああ?」


「わ、私はぼっちゃまの為なら、たとえ火の中、水の中

会長の第一秘書の貴方とともに、ぼっちゃまをお守りいたしますううう」


車は、街中を暴れる巨大な虫達の暴走に巻き込まれそうになりながら

ガソリンスタンドの石油の本社に辿り着く

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