ビター・スイート・セレナーデ

俺、私立探偵の乾宗十郎は、ある日一人の老紳士から依頼を受けた。
彼は日本中、いや、今や世界中にその名を知られた写真家。女性を撮らせたら右に出るものはいないといわれた男である。
今から30年ほど前、彼は一人の女性をモデルに選んだ。
それまで彼はモデルを単なる被写体としか思わなったのだが、その女性の美しさに目を奪われ、彼女と結婚したいと思ったのだが、しかし撮影が終わると、忽然と自分の前から姿を消した。
どうもこのところ人探しが多いが、でもまあ、これも仕事だ。やむをえまい。