部屋に三人の少女がいる。
少女たちはワンピースの色と同じシロ、クロ、アカという名前を持っている。
そこは孤島の家で、三人以外に老夫婦がいる。
三人は口を利かずテレパシーで会話する。
さらに三人はどうやら「世界を終わらせる」力を持っているようだが、それがどういうものなのかはわからない。
淡々とした静かな世界だが、常に緊張が張りつめている。
島の外から西宮という青年がやってくる。
「部外者」があらわれ物語は急展開を見せる。
シロが去り、能力を失ったアカはクロと言葉で会話する。
その会話は改行なしで描かれる。
ビートルズのジョンとポールのハーモニーのように、どっちが話しているのかわからなくなる混然一体となった会話で、このとき二人の、いや三人の魂は一つになった。
ラストは物悲しくも感動的だった。
少女終末旅行やファイアパンチのように、「世界の終わり」を描いた物語に共通する詩情を感じた。
こういうスケールの大きい悲劇は長編より短編のほうがインパクトがある。
終末ものがお好きな人に御一読をおすすめします。
傑作です。
孤島に、老夫婦と、3人の少女が暮らしている。
彼女たちはそれぞれ、アカ、シロ、クロ、と言う。
彼女たちには、テレパシー、それと具体的な表記はないが、
世界を終わらせるだけの力をもっているらしい。
彼女たちの目的は、外の世界を知ること、そして、
その世界が、
嘘や欺瞞、偏見に満ちたものだった場合、彼女たちがそう判断した場合、
世界を終わらせることだという……
これは想像だが、おそらくこの世界線は現実世界で、時代背景も現代に近いのではないだろうか?
そして、外の現実を知った彼女たちがとった選択は……。
AKIRAなどが好きな方にはおすすめ。
ちなみに、
赤、白、黒は、コカコーラからハーケンクロイツに通づる最強の色の組み合わせらしい。
三人の超能力少女たちの繊細な心理描写に引き込まれ、一気に読み進めてしまいました。
閉ざされた空間で描かれる彼女たちの葛藤が、まるで目の前で展開されているかのよう。
物語の核心にある「世界を終わらせるか、守るか」という問いが深く刺さりました。
現代社会への鋭い洞察が感じられて、思わず考え込んでしまうほど。
「扉」という象徴的な要素の使い方も見事でした。
少女たちの閉ざされた世界と外界との境界を巧みに表現していて、読むたびに新たな解釈ができそうです。
結末は余韻が残るものでした。
人間の本質や世界の在り方について、深く考えさせられる素晴らしい内容でした。
ありがとうございました。
超能力研究者は、彼女達3人の素質を、くみ取って、他の人がいない離島で
暮らしている。それは、彼女達の力の一つに、相手が思っている事を
読み取ってしまう能力があるからだ。
普通に考えても人は、他人と接するときに、あまり本音を言わない。
そのために、彼女達は幼い頃からの経験によって本音と表の部分の矛盾に
相当、苦労してきたのであろう。人間に対する考えや、社会の複雑性に
理解するには、まだ若すぎたかも知れない。
自分達もそうであれば、結果として彼女達と同じように自分達のテリトリーを、
失えば住む世界が無くなれば、世界を憐れんで見てしまうだろう、そして、
最善の道を選ぶだろう。この物語は彼女達を理解できるか?どうかと言った
ところで、また見方が変わってくると思いました。