唐揚げだけが生み出すことができる、異世界のリアル

唐揚げを作ろうとスーパーで材料を買った帰りに事故で異世界に転移してしまった主人公。彼の唐揚げへの未練がこの物語の骨子で、唐揚げを中心に話が展開していきます。
この物語の魅力は、単なる異世界転生ものとして捉えるにはあまりに深く練り上げられた、異世界の文化への描写です。
主人公が出会う異世界の人々の文化や服装や薬草、料理などの細かな描写と、彼らとの触れ合い方、会話などが、本当に異世界に行って魔法を使わずに唐揚げを作る行為がどれほど大変か、そしてどれほど意味がある行為かを分からせてくれます。
唐揚げを作ることを通して主人公が自分自身を顧みたり、周りと少しずつ心を通わせていく様子も胸が温まりました。

また、この作品の見どころとして最も上げるべきは、唐揚げに対する描写です。主人公、そして作者の方が唐揚げが好きなことが十二分に伝わってくる、あまりに仔細な唐揚げ描写に、唐揚げが食べたくなること必須です。
実際に私は読んでる途中で2回ほど唐揚げを作りました。一つ注意する点があるとすれば、唐揚げが絶対に食べられない場所では読まない方が良いです。食べられそうな場所にいるならぜひ読んでみてください。

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