未だ小さきこの世界、救うは魔法の無双ではない、電気の技術と熱い想いだ!

 この物語、『異世界召喚』モノとしての利点を尽く利用している。それは何か?
 そして、この物語、『異世界召喚』モノの定石を尽く使わない。それは何故か?

 この、ちょっと? いえ、かなり変わった超長編異世界ファンタジーのおもしろさは、ここにあると思うのです。
 それは、この物語ほど、ご都合主義が素敵に納得できることが珍しい。使える知識も経験も総動員。しかし、大魔導師として召喚されながら魔法を使わない主人公は、どう見ても脱テンプレ。
 更に、電気を知らなくても楽しく読めるのは、理科を司るこの作家さまの秀逸な文章によるのかもしれません。とにかくおもしろい。

 始原の大魔導師として召喚された、この主人公。天災に喘ぐこの小さな国を、持ち前の電気の技術で救えるのだろうか……。
 魔法の世界で、魔法を使わずとも、国は、人との繋がりは、発展していくのだろうか……。

 こころ踊る、胸が高鳴るとは、この物語にこそ当てはまるのかもしれませんよ。

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