この心優しき英雄は……ペンチと工具箱を携えて世界を救う。

大地を焦がす程に強力で大量な魔法物質『魔素』が降り注ぎ、滅びの坂道を転がり落ちてゆく世界──。
そんなところにいきなり放り込まれた主人公は、一切魔法が使えない。
しかも、当事者じゃなく友人の代理らしいのです。
ここまで読んで、クグぐぅっと物語に引き込まれました。
これ、この先どうなるんよってなりました。

そんな一読者な私の心中をよそに、彼と彼女と彼らは着実に在るものを無駄なく活かし、なければつくり、それでもダメならもって来る……それはもう、あらゆる手段で見事に復興の道筋を示してゆきます。
それに、職人さんや現地の人々の人情味や心遣いがあったかい。

作者さまの知識と文章力と経験値によって紡ぎだされた、圧巻の冒険物語。
電気や理系な話題も出てきますが、わからなくっても楽しめちゃいます。わからないことを知れちゃいます。

何はともあれ何よりも、この素敵な世界観をぜひぜひ楽しんでいただきたいです。

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