短編小説が持つ、可能性

天才と天才とが、出逢い惹き合い昇華していく物語。
題材そのものは、決して目新しいものではない。しかし、それでもこの作品が読者らの心を揺さぶり続けているのは、その洗練された語句にあろう。刀を打つ名匠が、微妙な炎の色を見極めるようにして、語を撰ぶ。彫刻家が、木に宿る女神を抱き上げるようにして、一切の無駄を削いでいく。
四千文字弱。必要にして充分な、粋。
故に、読者はその行間に息吹を感じることができる。生き生きとした登場人物たちの姿を肌に感じ得るのだ。

『短編』という物語形式が持つ力を、この作品は教えてくれたように思う。


紛れもない傑作です。文字って凄いなあと、改めて思っちゃうくらいの傑作なのです!オススメですよっ!

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