すべての高校野球ファンに捧げる青春讃歌

夏が来た! 球児たちの熱い夏が。
全国高等学校野球選手権大会、所謂「夏の甲子園」への出場を懸けて、六月の下旬から地方予選が始まる。
そこには、連覇を目指す強豪、復活を期する古豪、牙を研ぐ新鋭らが集う。
郷土の期待を担い、母校の誇りを胸に高校球児たちの闘志が激突するのだ。

これは、女子マネージャーの視点で描かれた、ある古豪野球部のひと夏の戦歴である。

不器用で暑苦しいと言われる部員、渋沢巧(しぶさわ たくみ)。
最後の夏、ベンチ入りメンバーとして受け取った背番号は、おそらく20番だろう。
監督のあからさまな態度が彼に対する期待の薄さを示していた。

ただ、渋沢巧はひたむきに練習に励んだ。
常に誰よりも声を出し、部員たちを元気づけた。

そして迎えた準決勝。対戦相手は甲子園常連校だ。
ここに至るまでも、渋沢巧には試合に出場する機会はめぐって来なかった。
当然出たいはずの彼、何とかして出してやりたいチームメイト。
果たして、監督の口から「代打・渋沢」は告げられるのか……!?

渋沢巧と主将・高岡圭介ら仲間たちとの熱い友情と信頼に胸を打たれた。
まぎれもなく、『夏、栄冠はきみに輝く』は素晴らしい青春讃歌だ。
人生のこの時期、この瞬間に与えられた……否、勝ち獲った光り輝く栄冠を、
全国にいるであろう「渋沢巧」の頭上に見た。

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