異世界から転生してきた王女に抱く恋心

本作の主人公は、前世である異世界の記憶を持って生まれた王女、アリサ……ではなく、彼女の幼馴染みにして専属書記官であるカイ。
この時点で少々特殊ですが、大多数の転生ものとは違う点がもうひとつ。転生ものというと、前世の知識や技術、もしくは神様からもらったスキルで大活躍することが多いですが、アリサの場合スキルはなく(そもそも本作にスキルという概念はありません)、前世の記憶も、ほとんどの人から妄想の産物と思われ、変人扱いされることも少なくありません。

主人公カイの役目は、そんな彼女の持つ前世の記憶の中から、役立つことがあるかもしれないと発言を書き留めておくものですが、彼もまたその生い立ち故に、理不尽な扱いを受ける立場でありました。
しかしそんなカイだからこそ、周りからは奇異な目で見られるアリサに寄り添う優しさを持っていて、いつしかその思いは、恋心へと育っていきました。
読者としては、ならこのままくっついちゃえばいいのにと思いますが、それを阻むのが、二人の身分差。王女であるアリサと、決して高くはない身分であるカイとでは、どんなに想っていても結ばれるのは難しいのですよね。

カイの想いは、果たしてどこへ行き着くのでしょうか。

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