王女の側付きになった少年を中心に描かれる、異世界ファンタジー作品です。
王城に入るのもギリギリな主人公の仕事は、とある王女の発言を記録すること。
異世界の知識を有すると語る王女から、こちらの世界でも活かせる知識を聞き取るのが仕事です。
本来ならば、女性が付いていたはずの仕事。加えて、騎士になることを夢見ていた彼にとっては、あまりにも方向違いと言える仕事。
しかし、彼に不満はありません。夢は遠回しでありながらも、叶っていたのですから。
異世界からもたらされる知識は、世界を変化させるに足るのか。
そして、二人の関係はどのように変化していくのか。
ぜひ読んでみてください。
ヒロイン、アリサ王女は転生者。
前世の記憶があるものの、前世は、普通の女性で、チート能力があるわけでも、どでかい魔法が使えるわけでもない。
むしろ、前世の記憶を喋るせいで、奇人扱いされてしまう、残念な王女。
そんなアリサに、彼女の孤独をわかってくれる少年との素敵な出逢いがあります………。
物語の視点は、アリサ王女ではなく、彼女の書記官となった少年、カイの視点で進んでいきます。
カイは、アリサ王女が好き………。
きゅん、とする、甘酸っぱくてピュアな雰囲気が、物語全体にただよっています。
それでいて、アリサ王女をめぐる、ひそかな陰謀の魔手が、アリサ王女をとらえようと忍び寄っていて………?!
物語の後半は、はらはら、ドキドキ。どうなってしまうのか、と、先が気になって、一気読み必至ですよ。
おすすめです。
ぜひ、ご一読を!
いわゆる転生ものには明るくない私ですが、転生もののテンプレといえば、異世界に転生した主人公の視点で、チート能力で無双したり成り上がったりするストーリーを語るというものでしょう。
でも、本作の語り手は転生した本人、アリサではなく、アリサの幼なじみである異世界の少年、カイです。
しかもアリサはチート能力もそなえていなければ無双も成り上がりもせず、むしろ前世の記憶のせいでまわりから「変わり者」と思われ、孤独感や疎外感を覚えています。
その設定がまず新鮮で、引きこまれてしまいます。
魔法や神様の設定も、丹念に練られていることがよくわかります。
相思相愛の二人ですが、身分違いであることとカイの鈍感さ(すみません……!)が災いし、なかなか友人以上の関係になることができません。
この二人の微笑ましさと初々しさが、まず本作の見所のひとつ。
加えて、タグにもあるとおりミステリー要素も強く、伏線も秀逸です。
事件の黒幕にはビックリしましたし、「あっ、あのときのあれにはああいう意味が……!」と何度も膝を打ちました。
事件の真相が明らかになっても、今度はアリサの転生にまつわる意外な事実が明かされ、最後まで驚きが止まりません。いえ、本当に、まさか○○○が○○○だったなんて……!
読後感もさわやかであたたかく、ほっこり幸せな気持ちになりました。年の差恋愛の好きな私ですが、ピュアな少年少女もやはり良いものです……!
甘くて可愛らしくて精巧なケーキのような、テンプレじゃない転生恋愛ミステリファンタジー、あなたもひとくち……いえいえ、ひとくちだなんてとんでもない、ぜひ全部味わってください。
■こんな方向け
☑身分差のある恋愛小説を読みたい方
☑無双しない転生ものを読みたい方
☑生き生きとした明るさのある物語を読みたい方
■あらすじ
異世界転生を自称する第七王女アリサと、彼女に仕える書記官のカイ。
彼は、周囲から“変わり者”扱いされるアリサ王女に恋心を抱いていた。
そんなアリサに、求婚を持ちかける者がいた。
上級貴族のファビオである。
アリサの為を思ってその想いを諦めようとするカイ。
ところが、この求婚の背後に裏があると知り、彼女を守るために動き出すのだったが……?
全53話(第一部)の長編恋愛ファンタジーです。
■おすすめポイント
(1)物語を織りなす魅力的なキャラたち
希少な精霊魔法の使い手で魔導騎士を目指しながら、身分の低さ故に試験に落第してしまうカイ。
転生したと公言する“変わり者”扱いの王女アリサ。
彼女は王家特有の魔法を扱うことができず半人前と見なされてもいます。
彼女を信じるのは、幼馴染みのカイと、「アリサを転生をさせた」という神さま・イリエンシスだけ。この女神様のキャラもまた素敵なんです。
そして、正義感が強く気丈な義姉のロザリー……。
それぞれが、物語世界の中でそれぞれにある種のリアリティーをもって、
“生きている”――そんな生命力を感じさせてくれます。
因みに、カイの視点で語られているのも、物語を読み解く上での重要なポイントになっています!
(2)身分差ゆえの切ない純愛
身分差というのは、
恋愛小説でも“そそる”テーマの一つだと思います。
相手と己の間にそびえる圧倒的な差。
超えられないのか。あるいは超えていくのか。
その葛藤を超えていこうとする道のりの中に、ドラマは生まれますし、
熾火の様に密やかに燃やし続ける想いにもまた味わいがあります。
この物語は、そのどちらも、たっぷり味わうことができちゃいます。
読みながら、「本当にそれでいいの?」とか「諦めるなよ!」等々、
カイを応援したりなんだりしたくなります。
現在公開しているのは第一部までとのこと。
あと一歩? それとも? ――思わず「にやっ」としたくなる筈!!
ぜひ続きも読みたい一作です。
(3)アリサ転生の意外な理由。
転生ものでは結構さらっと語られたり、あるいはお決まりパターンで処理される事が多いですが、このお話ではこの点についても作り込まれています。
果たして、アリサはなぜ転生したのか……?
物語の中で確認してみましょう!
地球から転生したら異世界で特別なスキルや知識を持ってちやほやされて――とはならないのがこの物語!
むしろ、「前世の記憶がある」とか言ってる頭のおかしい王女という、残念な扱いを受けるヒロイン。
確かに・・・こうなるよなあ、と思わせるリアリティがあります。
でも彼女の言葉を唯一信じてくれるのが、主人公の少年カイ。
優しいけどオクテで恋にはにぶいカイと、元気な王女のもどかしい恋を軸に物語は進んでいきます。
意外な人物が黒幕だったりして、あっとおどろく仕掛けもあり!
人物の感情を丁寧に描きながら、ほのぼのと進む物語ですので、ぜひ安心して読み進めてください!
異世界転生の記憶がある王女アリサ、その補佐官を勤めるカイ。
異世界転生というと、それを活かした新たな開拓や開発といった物語が多い中、アリサは王女として生きています。
前世の記憶を活かすどころか、不思議な事を口走る変人扱いまでされてしまう始末。
もちろん、全ての人物がアリサの言葉を否定する訳ではありません。
アリサの側で、アリサの事を支える人物――それが、幼馴染でもあるカイです。
二人は幼馴染で王族と下位貴族の立場でありながらその信頼関係は序盤から大きく映ります。
その信頼こそが、この物語の鍵とも言えます。
そして、アリサの異世界転生前の記憶は物語のスパイスです。
その記憶が、面白さを際だて物語に深みを与えると言っても良いでしょう。
筆者様の明るい物語に、二人の掛け合い、そして、信頼以上のアリサとカイの関係の展開と楽しめる要素はたくさん!
オススメです。
『第七王女は精神を病んでいて、現実と妄想の区別がついていない』と噂される、アリサ王女であったが、時折驚くような考えや知識を発揮することに気付いた王妃。
自分は転生者だといい、前世の話をしては、不思議ちゃん扱いされている模様。しかしそれを才能と考えた王妃が、アリサ王女の話を記録するためにその内容を書き留めさせることにした。
それが、この物語の主人公、カイ(僕)の仕事で、第七王女専属書記官という肩書である。
物語の視点はこのカイ(僕)の視点で展開されるため、アリサ王女(転生者)視点ではないのが一番の魅力。
個性的な仲間とともに繰り広げられる物語や、カイ自身の謎まで。
さまざまな伏線があり、それはお話が進むにつれて明らかになっていきます。そのしっかり作り込まれた世界観に、ハマること間違いなし!
普通の転生物が物足りない方、そうでない方にも、オススメしたい作品です!
※私は三部四章まで読み終わりましたが、まだまだ物語は続きます。
先にレビューさせていただきました。
本作の面白いところは、転生者が主人公ではなく、王女となった転生者の専属書記官であるところ。
王女アリサは元日本人の転生者で、前世の知識が有用なため、その言葉を記すために専属の書記官がそばについている。それが主人公のカイです。
当然、前世が異世界人だったと言えば周りの反応はお察し……。
ですが、周りがアリサを軽んじようと、カイはアリサの言葉を信じ、書き留めます。
ですがですが!
その前世の言葉は『ピンポンダッシュ』のような役に立たないものが多い!
そんなコメディを交えつつ、その根幹には身分違いの両片思いという恋愛ファンタジーがあります。
そして最後に言いたいことは……
『酒は飲んでも飲まれるな』
です。
みなさんも気を付けましょう。
家族との縁が薄くて、叔父一家の養子として育ったカイと、前世の記憶を語って変人扱いされてしまった第七王女のアリサ。
心の片隅に孤独を抱えた二人は、ある舞踏会の夜、運命の出会いをはたします。
寂しさを補い合うように仲良く過ごす二人。
二人はお互いを大切な人と思い定めますが、実は両想いと言うことには気づいていません。
やがてカイはアリサ専属の書記官として採用されますが、二人の間には身分の差と言う大きな壁が立ちはだかります。
時に壁の前に立ち止まりながらも、常に一生懸命アリサのために行動するカイはとても強くて優しくて、本当にカッコイイです。
そしてアリサも、王女と言う身分に甘えることなく健気で謙虚な女の子で、何よりカイのことをとても大切に思っています。
そんな二人は大きな事件に巻き込まれてしまいますが……
二人は無事事件を乗り越えられるのか?
二人はお互いの気持ちに気づける日がくるのか?
素敵な魔法石や、精霊魔法も登場しますよ。
爽やかな恋を応援したい方、必見です!
異世界が舞台のファンタジーです。
面白いのは、転生者の王女がヒロインなのですが、彼女が主役ではないところ。
前世の記憶を持つ彼女は妄想癖王女といわれ理解者がおらず涙していました。そこへ温かい手を差し伸べてきたのがカイ。彼が主人公なのです。
このふたりが出会い幼馴染として互いに理解し合いながら成長するのですが……ふたりには身分という壁がありました。
カイ視点で展開する物語は、差別や無理解に苦しむ姿を描きつつ、全編を通してほんわかとした優しさに包まれています。
王女に恋心を抱きつつも、身分差があるため、それをくちにできないカイ。
そんなカイに対して、つらくあたってくるライバルや、お節介気質の義姉など、キャラクターが生き生きとしていて、彼らがプロットに見事に絡んできます。
明かされる真相や、驚きの転生理由や、まさかの人物の裏の顔など、魅力たっぷり。主人公たちの成長や恋の行方を、ニヤニヤハラハラしながら見届けましょう。おすすめです。
前世は日本人。異世界転生したと言い張る王女を見守るために、魔導騎士見習いになりたい主人公。
残念ながら魔導騎士見習いに合格することはできませんでしたが、王女の専属書記官になることに。
王女の異世界トークを唯一信じてくれる幼なじみの主人公と王女ですが、王女はいまだに王族の証である『芽吹きの祝福』ができません。
そんな王女に貴族との縁談がおこります。最初は優しくて爽やかに見えた相手の真の狙いは……。
果たして主人公はこの縁談から王女を救うことができるのか……。
コメディ要素もあり会話も楽しくてテンポよくストーリーは進みます。
前世で亡くなった真実も解き明かされ、王女と専属書記官の身分違いの恋にハラハラドキドキしながらも、ラストはスカッとするくらい気持ちのいいハッピーエンド。
身分違いでも勇気を出して、想いを貫く素敵な恋。
前世は日本人で、異世界のお姫様に転生したアリサ。
いわゆる異世界転生ものですが、本作の主人公はアリサではありません。アリサの幼馴染みの、カイという男の子です。
転生した本人ではなく、別キャラが主人公というパターンは珍しいのではないでしょうか?
アリサは知り合いに前世の事を話すも、なかなか信じてもらえないのですが、このカイ少年は彼女の事を信じてくれて。成長した後は、アリサを支える専属書記官となりました。
そして定番の、実はアリサにこっそり恋心を抱いているという設定も、もちろんありますよ。
身分差があるため想いを告げるなんてできずに。それどころか恋敵まで現れて、カイの悩みはつきません。
しかし、異世界の住人からしたら荒唐無稽に思えるアリサの話を真剣に耳を傾けて、彼女を守ろうとする健気な男の子。こんな子を応援せずにどうしますか!
ピュアで可愛いカイとアリサのことを、どうか見守ってあげてください。
自分を異世界転生者だと言い張る王女のアリサは、それを信じていない人々から変わり者だと軽んじられている。そんな彼女の傍にいるのが、幼馴染みであり専属書記官でもある、このお話の主人公カイくんです。
この二人、幼馴染みという事もあって仲が良い。
二人の掛け合いからもそんな様子が分かるのですが、その気持ちは恋に育っていきます。
くっついてー! と願うのですが、それは身分によって叶わない。そこに舞い込むアリサ王女への縁談話。アリサ王女を想いながらも、彼女の幸せを第一に願うカイくんだったけれど、その縁談は色んな思惑が絡み合ったもので──。
カイくんは優しくて、鈍感で、無自覚タラシ。そんな彼の周りに居る登場人物達も可愛らしかったり、心の強さを持っていたり。そして人間らしく嫉妬に溺れたりと魅力的な人達ばかりです。
しかしやっぱりわたしはカイくんを推したい。優しいだけではなくて、実は情熱的なカイくんが素敵なのです。
ユーモアが盛り込まれていて、転生したというアリサの言葉にはくすりとしてしまう事も多いです。しかし、これはただの可愛らしい恋物語ではなくて……本当に驚く仕掛けが沢山あるのです。
是非読んで、驚きながら、二人の恋を応援してほしい。
とても爽やかな、素敵なお話です。
実力はあるのに、養子となった家の身分が足りないせいで希望する職に就けなかった主人公・カイ。
王族なのに、可笑しな言動のせいで世間から変わり者扱いされる王女・アリサ。
それぞれの理由ではみ出してしまった二人の、まっすぐで可愛い恋のお話です。
実は、アリサは『異世界からの転生者』。彼女が元いたのは我々の住む現代日本です。
この物語の登場人物たちにとっては当然知らない世界なのですが、カイの目線を通して見るアリサの様子から、読者には「彼女が日本にいた」ということが分かる仕様になっています。
このメタ視点を利用した構造が面白いなと思いました。
世界観や人間関係、魔法の設定など、自然な描写ですっと入ってきます。
カイとアリサ、そして周囲を取り巻く思惑や感情も丁寧に描かれており、とても読みやすく魅力的です。
最後に明かされたアリサの転生の理由にもほっこりした背景があり、物語全体を通してまっすぐで優しい雰囲気がありました。
カイとアリサの今後をあれこれ想像したくなる、爽やかな読後感。とても可愛らしいお話でした!
異世界から転生したのだという王女アリサ。しかし、まわりからは妄想だと思われているため、なにかと変人扱いされています。
そんな彼女の幼なじみであり、唯一の理解者といえる主人公のカイ。魔導騎士見習いを目指していた彼ですが、思いがけずアリサの専属書記官を務めることになって――?
差別や孤独といったテーマを内包しつつ、物語は明るく軽妙なリズムで進行していきます。恋に魔法にアクション、陰謀に策略にと盛りだくさんですが、ゴチャゴチャした印象はなく、とても読みやすく自然と物語の中に入りこめます。
決して無視できない二人の身分差。はたしてカイの決断と恋の行方は。
そして、忘れてはいけない、アリサの転生の真相にも注目です。