石頭聖女は撲殺されかけたって生き延びる。けどその後が大変なのです。

異世界ファンタジーの中の、聖女ものってジャンルを知っていますか?
知らない方は、カクヨムの検索機能を使って『聖女』と入力すればズラリと出てくるはず。簡単に言えば、ファンタジーな異世界ものに登場する、神やら精霊やらの加護だのにより不思議なスーパーパワーを持った女性のこと。
スーパーパワーというのは病気を回復するとか邪悪な力を封印するとか作品によって様々ですが、聖女がそのパワーを使って世の中のために貢献するというのはだいたい同じ。それが、聖女ものの基礎設定。

ただし、さっきも書いた通り、カクヨムには『聖女』と検索したら出てくる作品がズラリ。こんなに聖女ものが溢れているのなら、聖女というのに加えて何か尖った設定が必要です。
自分が今まで見た中には、タクアンを作り出す力を持ったタクアン聖女や、お酒大好きな飲んべえ聖女なんてのもありました。

そして本作では、そんな多種多様に尖った聖女界隈に新たな一石を投じる聖女が。その名も、『石頭聖女』のエリザです!
なんじゃそりゃと思われるかもしれませんが、作中での正確な二つ名は、『堅牢の石の聖女』なんかこう、石に関する加護を持っている訳ですが、その影響もあって、聖女本人の頭も石頭になったのです。もしかしたら、加護とは関係なく生まれつきという可能性もありますけど。
その石頭のおかげで、何者かに撲殺されかかっても、三日ほど目を覚まさなかっただけでなんとかなりました。

しかーし、問題はこれから。
目を覚ましたエリザは、婚約者のアレクに対して、ほんの出来心でこう言います。「あなたは誰ですか?」。
要はこれ、記憶喪失のフリをして、婚約者であるアレクに心配してもらいたいという、可愛い乙女心です。
普段無愛想気味なアレクだって、これなら慌てて、君は僕の婚約者だよ、愛しているよなんて言われるかも。なーんて期待をしてたら、言われました。
それに対するアレクの答えはこれです。「ただの幼馴染みだ」。
ちょっと待て、婚約者だろうがよ! なにシレッと嘘ついてるんだ。撲殺されかかった時以上の衝撃だよ!

しかもどういうわけか、記憶喪失の噂を聞きつけ、エリザの恋人を名乗る男性が三人もやってきます。
君は忘れてしまっているけど、僕は君の恋人なんだよ。って、記憶喪失は嘘だから。誰だよお前ら!

せっかく石頭のおかげで命が助かったのに、ほんの少しの嘘で非常にややこしいことに。
石頭聖女に明るい明日はあるのか?

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