力を取り戻すため良い子になる。ビジネス良い子な人生のはじまりはじまり?

命令の下、善も悪もなくひたすらに戦い続け、天使も堕天使も手にかけてきた〝それ〟。
そかし〝それ〟は一人の人間として生まれ変わり、持っていた力は剥奪。二十歳まで良い子として育てば、力を返してやると約束されます。

というわけで、リチャードという人間となった〝それ〟は力を取り戻すため良い子でいることにするのですが、そもそも良い子ってなんでしょう?
親や先生の言うことを聞くのが良い子? 勉強をしみんなから尊敬されるのが良い子? わからないまま手探りで良い子がなんなのか探っていくリチャード。
とはいえ彼にとって、良い子はあくまで力を取り戻すための手段です。そんな打算で何かやって良い子と言えるのかという声もあるかもしれませんが、さっきも書いた通りそもそも良い子の定義なんて曖昧なものなのです。

しかし、そんなビジネス良い子とも言えるリチャードにも、影響を与える出会いがあります。
良い子の手本になるような友人、ジャックに、養子として迎え入れられた義理の妹エイダ。
特にエイダ。リチャードは当初うっとおしいちびくらいに思っていましたが、勘のいい人ならきっと思うはず。そんなこと言って、後々大事になっていくよと。そうあってくれという、自分の願望かもしれませんけど。

人との繋がりが、良い子を演じようとするリチャードを本当の良い子に変えるのか。あるいは、誰かへの思いや執着により、良い子の道を踏み外してしまうのか。

良い子とは、善悪とは何なのかを考えさせられるようなお話です。

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