作者さまの作品としては珍しい和風恋愛ファンタジーです。
主人公朱鷺は幼いころの記憶を亡くし、かの有名な紀貫之のもとに仕えています。紀貫之が京に戻る道中、嵐が巻き起こり旅の一行はとある村に滞在します。
その村は実は曰くつきの村で、徐々に朱鷺の過去の記憶がよみがえり始めるのですが……
ホラーテイストなところもありつつ、なんかちょっと怖げでドキドキと読み進めていました。
文章はさすがの筆力で流麗かつ読みやすく、単語の絶妙なチョイスも作品世界を盛り立てます。するすると読めてしまう。すごいぜ、綾束ワールド!!
と、純和風作品ですが横文字で感動を述べておきます。
主人公の朱鷺ちゃんもすごく可愛らしくて、思い人の紀貫之の甥っこの鷹晴さまも男前で2人で怖いシーンを乗り越えたあとには「あ、あまあまな、あまあまな……」
ラストにさ、砂糖が、お砂糖が大量投入されております!!!
しっとりとした恋愛作品で作品全体の雰囲気もとても好きでした。すごく面白かったのでみなさまに手に取って欲しいなと思いつつ( *´艸`)
作者さまのあとがきも読んで、はあそうか、ほう、そういうことかと納得いたしました。作品作りにかけた思いも素敵です。
お勧めいたします!
平安の旅路を舞台に、記憶喪失の男装少女と彼女を想う青年貴族が、物の怪の呪いに挑む――「和風恋愛×ホラー風ミステリー」です。
朱鷺は男童として振る舞いながらも、鷹晴には不安を見抜かれ、距離を詰められます。
鷹晴の"恋心"と"朱鷺を大事に想う気持ち"に対して、身分ゆえの"拒み"が綺麗に噛み合います。
加えて、鷹晴の態度がある時期から変わった、という事実が序盤に置かれ、恋のもどかしさがミステリーの推進力にもなっています。
怨霊は正体不明でありながら、物語上重要な位置を占めることが分かります。
その正体が徐々に明らかとなり、朱鷺と鷹晴の過去と心情にも関わってきて、恋愛の甘さと過去への決着が深く刺さります。
読後感は、「ほどけた安堵」と「やっと言葉にできた想い」のあたたかさが残ります。
甘さはあるけれど、単なる溺愛ではなく「言えない」「守りたい」「怖い」が交互に来る"緊張感のある恋"が好きな人におすすめです。
朱鷺の失われた記憶は、彼女を救う鍵になるのか、それとも呪いの根に繋がる刃になるのか?
そして鷹晴は、朱鷺が少女であることも過去も抱えたまま、どんな言葉で未来を掴むのか?
昔々の平安時代。
貴族に遣える少年従者、朱鷺の正体は実は女性。
記憶をなくしていたところを拾われて、以来お勤めに励む健気な女の子です。
そんな朱鷺の兄貴分は、遣える主人の甥に当たる鷹晴。
身分の違いはあれど、気の合っていた二人ですが、ある時から鷹晴の態度が一転。
妙によそよそしくなったのですが……それは朱鷺のことを、意識しているからです!
朱鷺が女の子と気づいて、以来気になって仕方ない鷹晴。
しかし溺愛しようにも朱鷺が性別を隠してる以上、気づいていることも胸の内も打ち明けられません。
このもどかしさこそが、このお話の売りです!
しかし本作は、ただのドキドキラブラブ物語ではありません。
朱鷺と鷹晴に襲いかかるのは、怨霊の呪い。
わけあって悪霊に狙われた二人は、命の危機に。
これでは溺愛どころではありません。
二人は呪いにうち勝って、ギクシャクした関係を直すことができるのでしょうか?
身分差、男装、時代ファンタジーと、心をくすぐる要素が盛りだくさんの名作です。
時は平安。貴族に仕える少年従者の朱鷺。彼には、ある秘密がありました。
いえ、正確にはこう書くべきでしょう。
彼女には、ある秘密がありました。
実は朱鷺。格好こそ男性のものですが、実はれっきとした女性。
しかも、幼い頃の記憶をなくしていて、正確な素性もわからないという訳ありです。
にもかかわらず、そばに置いてもらえるばかりか特別可愛がってくれる主人やその奥方様には、返せないほどの大恩があるのです。
そして、朱鷺のことを特別気にかけている者がもう一人。
主の甥っ子の鷹晴が、朱鷺に熱い視線を送っているのです。
ただし、少年従者ということになっている朱鷺に思いを伝えるのは簡単なことではありませんし、そればかりか、嵐にあうだの、物の怪に襲われるだの、図々しい勘違い女が余計なことをしてくるだの、二人の歩む道はたくさんの困難が。
しかしお話としては、うまくいかないことがあるからこそ、ドキドキや胸キュンは高まるもの。
数多くの恋愛作品を書かれている作者様だけあって、そのあたりの素晴らしさは保証付き。
困難や邪魔があるたび、がんばれ、これを乗り越えた先には胸キュンがあるんだと応援したくなります!
二人が幸せになるその時まで、じっくり見守っていきましょう。
本作は、紀貫之の従者の男装少女・朱鷺と、貫之の甥・鷹晴を中心とした、呪いと愛の因果の絡む歴史ファンタジーです。
実際に『土佐日記』の中にあるエピソードの裏側を埋めるような形で、物語が組み上げられています。
メインとなるのは、失われた朱鷺の記憶と、立ち寄った村で襲ってきた物の怪と、鷹晴と共に受けてしまった呪いの謎。
ホラミス要素のあるストーリーに加えて、鷹晴に信頼を寄せる朱鷺と、朱鷺が少女であることに気付いて密かな想いを寄せる鷹晴のもどかしい関係性が、彩りを添えます。
記憶を掠める村の風景、朱鷺が持っていた櫛、髪の物の怪……
散りばめられた伏線がかちりと嵌った瞬間の気持ちよさと言ったら!
恋愛ものの名手である作者さまが敢えて甘さ控えめに抑えた恋愛描写も、絶妙なバランスで差し込まれており、お見事です。
物語の終盤に出てくる「貫之が詠んだとされる歌」が、朱鷺の心境に寄り添うように印象的に使われていて、作者さまの腕を感じました。
聖地巡礼をしてみたくなるような、読み応えあるお話でした。
とても面白かったです。多くの方に読んでいただきたい作品です!
紀貫之の『土佐日記』を大胆かつ幻想的に再構築し、ホラー風味に味付けした歴史ファンタジー作品の傑作です。
作品の最大の魅力は記憶を失くし、少年従者として紀貫之に仕える少女と、彼女を見守る貫之の甥の瑞々しくもどこか危うい関係性です。
男装する少年を常に優しい目でみる男の頼もしい姿に、胸が高鳴ること請け合い。そこは糖度120パーセントの作者さま作品。
けっして裏切りません。
さて、嵐にあい、村に漂着して、不気味な「物の怪」と出会ってから物語は佳境に入り、独特の緊張感を漂わせながら進んでいきます。
作者さまとしては珍しい志向の作品で、その意味では、過去作品とは異なる新鮮な綾束乙様作品を読むことができます。
この物語で、私は貝塚市を知り、そこにある特殊な神社の存在をしりました。関西方面に行く機会があれば、ぜひ訪れてみたいと思わせる作品です。
おすすめです。
どうぞ、お読みください。
毎年この時期、私は『綾束 乙』御大のカクヨムコン参加作品から一年分の糖分を摂取しております。綾束さんの作品といえば、ときめきメガ盛り、キュンマシマシ、お砂糖の絨毯爆撃でお馴染みですから。もう周知の事実かと思います。
が!
本作っ!
少々甘々が控えめなのでは?!
そう思った方も多いのではないでしょうか。ええ、私もその一人。
綾束御大もですね、今回はちょっと控えめかも、みたいなことをおっしゃっていたわけです。
ですが!
ですが皆さん安心してください。
出てる出てる出てる。
滲み出てる!染み出てきてるよ!甘いの、染み出てきてるよ!
もう私くらいになるとわかるから。
染み出てきてんな、滲み出てんな、ってわかるから。
本作ヒロインである、朱鷺ちゃん(男装っ娘←俗っぽい言い方するな)を見つめるヒーロー、鷹晴さんの優しい眼差しでもう全部わかる!ああもうこの子絶対に幸せになる!信じてる、私は綾束さんを信じてる!
と、いまのところ、一切あらすじも何も触れていないクソレビューになってしまっているため、こんなんで本当に良いのかと少々焦りを感じていますが、まぁ聞いてください。私はいま読み終えたばかりなのです。最後の最後にこれでもかとお砂糖を撃ち込まれて蜂の巣状態なのです。語彙なんて霧散ですよ。そうでしょう?
とにかく前半はですね、朱鷺ちゃんがもう不憫で仕方ないわけです。タイトルにもあります通り、彼女、記憶がなくってね。記憶はないわ、クソ女(コラッ松清!)に変にやっかまれるわで、もう可哀想なわけです。おいそこのクソ女、これが綾束作品であることに感謝しろよ、ウチの子だったら八つ裂きだったからな?!そう思い、何度拳を振り上げたかわかりません。
ですがほんと安心してください。
安心して読んでください。綾束作品は完結保証!そしてハピエン保証です!
朱鷺ちゃんが失われた記憶を取り戻し、そして幸せになるまでをぜひとも見届けてください!