愚者だからこそ彼らは挑み続けた

貴族制度が崩壊し、かつての支配者に必要以上の報復が横行する国家があった。
偶然に会した亡父に武術を叩き込まれた青年、己が身以外を喪った貴族の少女、青年に寄生した凶悪な赤子。
亡父の望み、世界最強の証明と誉れのため青年は赤子と共に少女を護り追手を撃破していく。
伝授された鞭と剣術、血肉を糧に『天敵』へと成長する赤子の前に敵はいないはずだった……。
青年は知る、世という大海には自身が一匹の魚ですらないと。
英雄と称される男、己が出生と真実、力で敵わぬ存在を前にして青年は決断を迫られる。

勝利とも賞賛とも無縁。
歴史は彼らに愚者の名しか与えまい。
だが、彼らは足掻き、抗い、そしていつしか家族となっていく。