彼女の視線の先にあるもの

自分の考えがぐらついているとき、対人関係も難しくなる。

花占いに望みをかけた後ろめたさ。
他人の不幸を願ってしまった後悔。
それらがわだかまりを生み、二人の距離を広げてしまうけれど、結局は……。
模索しながら理想の「着地点」に漸近していく二人。

不器用さ故に、人とのつながりが花びらのように揺れ続ける描写がいい。
彼女の視線がどこを向いているかに注目して再読すると、桜花の如く揺れる心の動きに連動しているのがわかります。巧手、というほかはない。

同題異話皆勤という継続の実力はもとより、作品の水準も高く、作者様の実力を感じます。
いつもながらお題をきっちり書ききった、同題異話のお手本のような作品だと感じました。



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