いま、すごい物語とすれ違った

 なにか読むものないかなーとぼんやり探していて、カクヨムの茫漠な小説の森の中、ふとこの物語が僕の近くにあった。たまたま、偶然。目を通して、宮沢賢治の『わたくしといふ現象は仮定された有機交流電燈のひとつの青い照明です』(春と修羅より引用)という一文が頭を掠めた。意味はよくわからないのだけど「いまなにかすごいものとすれ違った」というふわふわとした読後感がしばらく僕の周りに残っていて、レビューを書かざるを得なかった。SFは門外漢。にも関わらず夢中で文字を追いかけていて、とりわけ色を連想させる表現がまあ素晴らしく、ここに来て初めてと言って間違いないくらいあと何度か読み返しに来たいと思えた物語です。

推します。

20200304/
 3周め読了。今回もすばらしかった。

20200420/
 ライトな読み物が席巻する中、鮮やかで流れるような文体で『人の奥に残ったマッチの灯のような温かさ』を表現する為に用意された濃密な設定が、読み応え十分で、しかも重過ぎない。絶妙なバランス感覚がある。個人的にはハーヴァマールとの会話が好き過ぎる。カクヨムでいちばん誰かに勧めたい短編、と自信を持って言えます。

20201101/
 もう何回読みに来たかわからないが、なんだか涙が出た 笑 電子の海を漂うことしかできなくなった彼女の、文面には現れていないものを想像すると、本当に、涙が出てきたんです。すばらしい物語をありがとう。何度でも読みに来ます。

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