概要
青い夕焼けのなか、わたしは降下する
赤い惑星、火星。
依頼を受けた「わたし」は擱座した機体のデータ回収を試みる。
依頼を受けた「わたし」は擱座した機体のデータ回収を試みる。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!人の形を失えど消えぬもの
「人間とは何か?」という問いはSFの中で変わることのない一つのテーマであるように思えます。
人とテクノロジーの関係はテクノロジーと相対した人間という存在を描き出します。
「フォボスから花は見えない」はかつて同じ故郷、地球というバックグラウンドを持つであろう、『通商連合』と『皇国』は交戦を続けている世界を背景として描かれる一幕です。
この二つの共同体は異なるイデオロギーを持っています。人間の規定の在り方の違いです。
『通商連合』はより生身であることが人間的であるとされていると思われます。
一方で『皇国』は「魂こそが人である」という国是をもちます。
主人公である「わたし」は『通商連合』の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!いま、すごい物語とすれ違った
なにか読むものないかなーとぼんやり探していて、カクヨムの茫漠な小説の森の中、ふとこの物語が僕の近くにあった。たまたま、偶然。目を通して、宮沢賢治の『わたくしといふ現象は仮定された有機交流電燈のひとつの青い照明です』(春と修羅より引用)という一文が頭を掠めた。意味はよくわからないのだけど「いまなにかすごいものとすれ違った」というふわふわとした読後感がしばらく僕の周りに残っていて、レビューを書かざるを得なかった。SFは門外漢。にも関わらず夢中で文字を追いかけていて、とりわけ色を連想させる表現がまあ素晴らしく、ここに来て初めてと言って間違いないくらいあと何度か読み返しに来たいと思えた物語です。
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