子供時代の終わりを見送る、かわいくてかなしい、愛しいあやかし

猫又の伝承が残る島で育った「わたし」が出会ったのは、大きな獅子ほどもある白い猫。
血も凍らせるような妖気と、身も心も緩むような陽気じみた芳香を纏う、歪な怪異──

ややホラーチックな導入ですが、この猫又の可愛いらしいことと言ったら!
とにかく前編を開き、最初のシーンを読んでみてください。猫又の可愛さに心を掴まれ、作品世界に没入すること間違いなしです。

主人公と猫又のほのぼのとしたやりとりやコミカルなシーンが、後編の切なくも美しい情景をいっそう引き立てているように思います。

誰もが通り過ぎていく子供時代の終わり、確かにあった成長痛に似た感情を、鮮やかに蘇らせてくれる作品です。
タグのとおり万人向けですが、特に猫好きの方は是非ご一読ください。

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