指の隙間からこぼしてしまう

朝露と言うサラッとした綺麗な単語がこの作品では比喩であったり名前であったりする形で意味を持ちます。その清廉な単語に潜む妖しさと言うか。

後半に襲い掛かる不安感は主人公の心情と重なり没入感が一段と増します。

自分が浮ついた気持ちになる、その異性に高鳴る心情。
どうしても見てしまう一挙手一投足。
青春が必ず綺麗にドタバタするだけの世界観じゃなく、どこか生々しさ、そしてどこかで起こってるかもしれない、と。
そう言う意味でも、先述の没入感があるように私は感じました。

大輔くんが目敏く様々な彼女の行動を見ているところも、平静でない彼の心境を表しているようで、人間臭さを感じるところは私の好みでもありました。

登場人物は2人、作品も短編としてとても読みやすい話。
手を出すにはまずおすすめ。
短編で定評の有る氏の世界観を見れる良い作品です。

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