暗闇の世界

作者 聖願心理

100

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★★★ Excellent!!!

これも、青春の一つなんですよ。
甘い青い甘酸っぱい。インターハイで汗を流す。勉学に打ち込んだあのころ


それだけが青春? それのみが青春? いーえ、違いますね。


これも立派な青春です。これが青春じゃなくて何が青春なんですか。

最後のほう男の子が連問します。どうして、どうして、どうして。


彼女の青春が、今だからじゃないかな。


そして、とある言葉でこの作品は終わりを告げていきます。


少年よ、青春はいつだって君を迎えてくれるよ。



ぱっと見どうにもならない話かもしれません。ひっでー話かもしれない。しかし「深読み」すると行動原理が見えてくるお話です。行動するための何かが見えてくる作品です。久しぶりに深読みした。

これも青春なんです。そう、青春は無限の形を持っているんです。

★★★ Excellent!!!

 主人公の男子高校生は、早朝の学校で勉強をしていた。そこに、不登校のクラスメイトが入ってくる。主人公は彼女を鮮明に覚えていた。
 何故なら主人公は、彼女の「世界」に足を踏み入れ、「神」のような彼女を見たからだ。彼女の家に書類を届けに行って、彼女の部屋に入った。薄暗い部屋で、彼女はパソコンに向かって、ひたすら文字を打っていた。小説を書いているという。即ち彼女は、本当に「世界」を作っていた。そんな彼女を主人公は神々しいとさえ思った。そして彼女は主人公の受け答えに、「つまらない」と言いながら、いつも笑っていた。
 この日も、彼女は主人公を笑った。そして彼女は主人公に問う。
 「どうして学校に来たと思う?」
 そして彼女は言うのだ。
 「世界を救うためだよ」
 彼女が作り出す世界と、神のような彼女。主人公が抱いた彼女への嫉妬。
 最後に彼女は自分に今度会うことがあったら、名前で呼ぶように言う。
 そして主人公は――。

 文章がきれいで、その文章で構成された世界観も鮮やかでした。
 日常の何でもないところを切り取りつつ、このような作品に仕立てられるところに、作者様の力量がうかがえます。

 是非、御一読下さい。

★★ Very Good!!

あの時出会った少女から目を離せない、なんて。
いろんなパターンが有るかも知れないけれども。

誰も知らない『彼女』を知る優越感が、いつしか変わっていく。

何処かふざけてて、何処か軽薄で、的を得たような、得てないような言葉で翻弄する言動は、どこか魔法使いならぬ『言葉使い』の一旦を見ているようでした。
彼女に翻弄されながらも、彼女ほど上手に言葉を使えないからと。
不器用ながらも返す言葉を出した主人公の一言は、きっと皆の心に刺さるでしょう。

振り切った能力を持つ事にちょっと嫉妬。
呆れているかも知れないけれど、応援してくれる親の姿とか。
私も欲しかったなぁ、なんて。

★★★ Excellent!!!

不思議な少女は、一人の少年に影響を与えた。それは少女が意図したものじゃなかったかもしれない。それでも暗闇に沈んでいた少年は動かされた。
それだけ、小鳥遊月花という少女は強くて、素敵で、眩い存在だった。
彼女は、きっと現実で迷っている人にも力を与えることができると思う。
そう思わせてくれるほど魅力的な文章だった。
だから私は、迷っている学生に、この物語を届けたい。

★★ Very Good!!

 教室にせよ個室にせよ、自分しかいないと認識できる空間は心地よい。しかし、その贅沢は意識しないと分からない。あとから思い返して幸せな場面と感じることもないではないが、微妙な残酷さを伴わずにはいられない。
 主人公は、自分だけの世界を広げる力を持たず関心も向けなかった。なるほど、つまらぬ。
 それがどうなるかは実際に本作を読んで確かめるのが良かろう。
 詳細本作。

★★★ Excellent!!!

多くの高校生が胸の奥にしまい込んで目を背けることを、小鳥遊さんは問う。
「どうして」と。
未だ庇護されている立場の人間であれば、その問いに答えるのは憚られます。
しかし『僕』は、与えられた選択肢の外に魅力を感じている自分に気づいてしまいます。
いわば「最上の篭」を目指して勉強に励んでいた主人公には、その外側へと羽ばたいていく小鳥遊さんの姿は美しく見えたことと思います。

そしてこの物語は、光がとても美しいです。
はじめは小さな光だった小鳥遊さんの世界が、最後に強く輝く様は、ドラマチックでした。

★★★ Excellent!!!

この物語の大きな意味は「自分の生き方は自分で決める」という事だろう。

学校へ行き、勉強をし、大学へ行き、社会人になる。
多くの人がこのレールの上に乗ろうと頑張っている。
この主人公も同じなのだが、彼女は違う。
自分の生き方を決め突き進む彼女を主人公は眩しく思う。

自分の学生の時を思い出した。
あの頃の自分では分かっていなかった事が今はよく分かるのと同じように、彼女の生き方は荒削りだが後悔しない生き方なのだと思っている。

踏み出す一歩の重さがそこにある。

そういう物語だと理解した。

★★★ Excellent!!!

素敵な世界です。
高校へも数えるほどしか出席していない、不思議な少女。そのオーラに、主人公の少年は強く惹きつけられます。
自分自身の情熱に正直に、ひたすら真っ直ぐに進む彼女。自分の道がまだ見えずにいる彼。
少女の神々しいほどの小説への情熱と、それを見つめ、憧れる平凡な少年のコントラスト。そして、そんな対局の場所にいながらも、不思議と引き合うお互いの心。それらの繊細な心の動きがとても丁寧に描き出されていて、物語そのものの誠実な熱量が深く読み手に伝わります。

真っ直ぐに届くって、やっぱり素晴らしい。改めてそう感じる物語です。

★★★ Excellent!!!

序盤は、主人公がクラスメイトと話しているだけのシーン。
ところが、あるセリフにドキッとさせられる。
引き込まれるように読み進めていくと、ひとつひとつのセリフが、語句が、描写が、とても示唆的であるということに気付く。

「この言葉はこれを意味していたのか」
「このシーンはこの比喩だったのか」
と発見するたびに、何度も読み返した。

闇と光。
閉じた世界と、その中に広がる広大な宇宙。
戸惑いと希望。
持つ者と持たざる者。

主人公とヒロインが互いに「どうして」と問い合うシーンが熱い。
迷うことなく真っすぐ答えるヒロイン。
考えて、悩んで、迷ったあげく、結局答えられない主人公。

……ああ。ここからして二人は既に「違う」存在なのだと突き付けられる。

価値がないと判断すれば、わずか数秒でひとつの世界を捨ててしまうようなヒロイン。なんと強いのだろう。
凡人の私には、その強さが恐ろしい。

そして、ヒロインが主人公を「つまらない」と評した言葉の意味に気付いてしまう。
そうだ。そうだろう。「あなたのような人」から見れば、どんな人間だってつまらない存在に成り下がってしまう。

でも、その中に微かな希望がある。

登校したばかりの時間は「まだ薄暗い」が、
ヒロインと話しているうちに主人公は「光が差す」瞬間を見る。
それはヒロインにとって新しい世界が始まる瞬間であり、二人にとっての別れの瞬間でもあり、あるいは、主人公が希望の道を歩き出す瞬間であるのかもしれない。
だからこそ、主人公は最後にヒロインを「見つける」。

物語全体に広がる圧倒的表現力。圧倒的世界観。
哲学的だとすら思う。

物語を読み終えて思う。
まさに【聖願心理】その人が、神様なんじゃないか、と。