「つまらない」って言いながら、君はいつも僕を笑うんだ。

 主人公の男子高校生は、早朝の学校で勉強をしていた。そこに、不登校のクラスメイトが入ってくる。主人公は彼女を鮮明に覚えていた。
 何故なら主人公は、彼女の「世界」に足を踏み入れ、「神」のような彼女を見たからだ。彼女の家に書類を届けに行って、彼女の部屋に入った。薄暗い部屋で、彼女はパソコンに向かって、ひたすら文字を打っていた。小説を書いているという。即ち彼女は、本当に「世界」を作っていた。そんな彼女を主人公は神々しいとさえ思った。そして彼女は主人公の受け答えに、「つまらない」と言いながら、いつも笑っていた。
 この日も、彼女は主人公を笑った。そして彼女は主人公に問う。
 「どうして学校に来たと思う?」
 そして彼女は言うのだ。
 「世界を救うためだよ」
 彼女が作り出す世界と、神のような彼女。主人公が抱いた彼女への嫉妬。
 最後に彼女は自分に今度会うことがあったら、名前で呼ぶように言う。
 そして主人公は――。

 文章がきれいで、その文章で構成された世界観も鮮やかでした。
 日常の何でもないところを切り取りつつ、このような作品に仕立てられるところに、作者様の力量がうかがえます。

 是非、御一読下さい。

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