「誰か」を作らなければ、「さよなら」なんて――。
- ★★★ Excellent!!!
主人公の男子高校生のクラスに、転校生がやってくる。その転校生は儚げな美少女だった。クラスが同じで、登下校の時も同じ駅を使う二人は、徐々に距離を縮めていく。しかし、二人の心地よい時間は、唐突に終わる。
それは彼女の家庭が抱えるある問題によって、引き起こされた。
早朝にだけ見ることが出来る、一滴の雫。朝露。
それは、太陽が昇ると消えてしまう儚い存在。
それでも、彼女はここにいた。
朝露のような奇麗な雫を目に浮かべて。
彼女の見栄。虚栄心。それでも、主人公は――。
切なくもほろ苦い青春の一ページ。
伊勢物語の「露と答えて、消えればよかったものを」という
一節を彷彿とさせる一作。
是非、御一読下さい。