「誰か」を作らなければ、「さよなら」なんて――。

 主人公の男子高校生のクラスに、転校生がやってくる。その転校生は儚げな美少女だった。クラスが同じで、登下校の時も同じ駅を使う二人は、徐々に距離を縮めていく。しかし、二人の心地よい時間は、唐突に終わる。
 それは彼女の家庭が抱えるある問題によって、引き起こされた。
 早朝にだけ見ることが出来る、一滴の雫。朝露。
 それは、太陽が昇ると消えてしまう儚い存在。
 それでも、彼女はここにいた。
 朝露のような奇麗な雫を目に浮かべて。
 彼女の見栄。虚栄心。それでも、主人公は――。

 切なくもほろ苦い青春の一ページ。
 伊勢物語の「露と答えて、消えればよかったものを」という
 一節を彷彿とさせる一作。

 是非、御一読下さい。
 

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