山妖記

作者 雨伽詩音

92

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★★★ Excellent!!!


なんと言っても地の文の濃さです。
本当に昔話を紐解いているような、初めから最後まで、全く崩れない美しい文章が深く深く読者を世界へと連れて行ってくれます。


主人公は盲目なのですが、山の中の場景が丁寧な描写の中に浮き上がってきます。

語りかけてくる精霊、花の匂い、琵琶の音色、母の指先……そして、血の香り。
目の前に映像があるかのようでした。


何度読んでも素晴らしくて、現在三週目をしたところです。
色んな方に読んで欲しい作品です。

★★★ Excellent!!!

血か育ちか愛か覚悟か。

主人公が葛藤する様を美麗な世界感を背景にして丁寧に描いた作品です。

ファンタジーが飽食気味な人にこそ読んでほしい、人と妖の物語。
山月記でもなく、もののけ姫とも違う。
けれどそれに通ずるような深く、物悲しく、苛烈な一面も垣間見せる物語です。
気になった方はぜひどうぞ。

★★★ Excellent!!!

人の子と疑惑を向けられるあやかし。
あやかしの世界で成長し、イニシエーションがあります。

ずっと、どんな話になるのか、盲目の主人公のように
暗闇を手探りで読み進む感じがあります。

和風ファンタジーです。
あやかしの世界を抜け出し、人間の社会に。
クライマックスは突然やってきます。
鮮やかな手腕で一気に視界がひらけ
人間ドラマを盛り上げてラストへ。
すわりのよい結末でした。

★★★ Excellent!!!


 中華を舞台にした、人と妖の狭間に立つ盲目の主人公。盲目ゆえに葛藤し、己が存在の意味に困惑する。

 この作品の醸し出す幻想的な世界観は中華の山中に存在する神仙の世界を幻視させる程に美しい。そして妖の世界の不思議な気配をその文章から確かに感じる。これは芸術的な絵巻物を彷彿とさせるものだ。

 人としての血に応えながらも人に戻れぬ主人公の選んだ結末は──。

 短編ながらに世界が広く深い作品でした。

★★ Very Good!!

 月すめば よもの浮雲空にきえて み山隠れに ゆくあらしかな 藤原 秀能

 月が澄むと、四方にある雲が空に消え、深山に隠れて嵐が去っていくという意味である。
 秀能は承久の乱で後鳥羽上皇に味方し、敗れて熊野で出家する。上記はその熊野で詠まれた。
 ある意味、本作の主人公がたどるであろう心境に沿った感覚を覚えたので披露した。
 詳細本作。

★★★ Excellent!!!

自分の宿命に向き合い、果断な決断を下す主人公が素晴らしいと思いました。
古風な文体、和風ファンタジー的な世界観
、様々な生き物に変身する主人公の能力など、魅力的な設定が詰め込まれた本作ですが、それらが単に「イイ感じの雰囲気」に奉仕するだけではなく確かなリアリティを醸し出している。
それは、「行くとこまで行く!」主人公の気概と勇気ある行為がちゃんと示されているからです。
一本の古槍のような骨太な物語、ぜひ一気読みしてください。

★★★ Excellent!!!

ぼくは書評というものが書けないので、ほんとうにすばらしい作品は読んでくださいとしか言えません
こまやかなところまで丹念に織られたいちまいのうつくしいことばの布
それにくるまれて夢をみるような
すばらしい一時をあじわえます
細部まで妥協をゆるさない文章への姿勢と作家の矜持とをかんじられるすばらしい作品です
雨伽詩音さんのよいところがこれでもかと詰められた一作です