軽やかなのに味わい深い、学園ミステリーの傑作シリーズ!

このシリーズ、とにかく面白いんです。
なにが面白いのか?
意外なストーリー展開と、絶妙なキャラクターと、斜め上をいくミステリと、ちょっと好奇心をそそる雑学的なテーマ設定……
これらがなんとも軽やかな文章と世界観で語られていきます。

学園でおこる不可解な事件や困りごと、それに巻き込まれるのが主人公の月ノ下君。
彼にさりげないアドバイスとヒントをくれる博識の星原さん。
この二人の名コンビが、事件の意外な真実を浮き彫りにしていきます。

この二人のコンビの活躍を横糸にするならば、縦糸は事件を通して描かれる社会的・人間的なテーマでしょうか。
印象からつくられる虚像、集団意志のコントロール、造られた伝統、無生物への心の投影。
そんなちょっと興味深いテーマが事件の芯になっています。

そしてこの二つが巧妙に織り上げられることで見えてくる鮮やかな推理劇。
これがもう「見事」の一言です。
推理ものが苦手な人でも楽しめるし、推理が好きな人であればこのちょっと変わった切り口がクセになると思います。

とにもかくにも多くの人に読んで欲しい作品です。
作者の「楽しんで欲しい」という気持ちと、そのための苦労がすごく感じられる素晴らしい作品でもあります。

物語は連作短編のスタイルなのでどこから読んでも楽しめますが、もちろん第一弾から読んで欲しい!
面白さは保証付きです。

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