対比構造に挟まれて、ホラーの楽しさに飲まれていく

泥目と呼ばれる怪異と祟りを巡る、傑作ホラー小説。

圧倒的な知識と惚れ惚れするような筆致、そして興奮の止まらない展開は作者様の素晴らしい才能で、いつも安心して読める。

そして今作は特に、対比構造がとても興味深かった。

古より続くと言われる「祟り」や「呪い」と、新時代コンテンツである「動画投稿者」
聖なる物の象徴とされる「水」と、濁りにまみれた「泥」
そして、怪異の「嗤い」と、ホスピタルクラウンである主人公が求める「笑い」

対比されるからこそ、ギャップと歪さが浮き彫りになって、その狭間で読者は揺れながら夢中になって読了していく。

極上のエンターテインメント、オススメです! でも夜に読むのは注意!

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