いつから見ているかは分からないけれど、ずっと見ているとは分かる。そんな奇妙な夢を見ている高校生の桃田は、二学期を迎えた。クラスメイトとの他愛無い遣り取りの中、ふと不自然な何かが彼を襲う。
それはまるで、何かを隠すような耳鳴りや、正確さを欠いて行く自身の記憶。
得体の知れない違和感を覚えながらも、その原因を掴めない。
始まったばかりの学校生活を過ごしていると、クラスメイトの雉島や鬼ノ城も、彼と同じ夢を見ているのではないかという疑惑が上がった。その真偽を確かめる為に三人は、夢に現れる商店街を舞台にある調査に出る。
もしも本当に三人が、同じ夢を見ているのなら? ならその理由は? 夢の中に現れる、商店街の正体とは一体何?
未知への好奇心に読者諸共吸い込まれていく三人ですが……。そこで味わうのは、胸躍る冒険などではありませんでした。
立ち止まって考えてみれば、ある特定の人間だけが共有して見ている夢があるとは、空恐ろしいものです。
何故彼らだけが? 原因は? 勿論それを解き明かそうと桃田達は奔走し始めますが、身に覚えの無い記憶や、呪いまでが立ちはだかります。それらを掻き分け答えを求める桃田達の行く末は……。是非、読んで確かめてみて下さい。きっとあなたも彼らのように、夢と現の間に落っこちる事間違い無し。
真に恐ろしきものは何なのか。不穏と爽やかさが同居する、予測不能な青春ホラー!
読みはじめは、いたって軽妙な青春小説。テンポよく進む会話、おちゃらけ男子同士のじゃれあい、健康で平凡な高校生のダルダルな日常、恋と友情にまつわる思春期の機微、もうそれだけで充分に魅力的。でも、その爽やかテイストに油断していると、足元危険!!気がつくと、ぐらぐらっと底が抜けて、落下していくような感覚を味わうこと必至です。
ふとした会話から、同じ夢を見ている偶然に気づいたのは、もも、拓海、猿川、なぎさ。
そして、どうやら共通の友人がひとり、この世界から消えているらしい。その謎解きに4人で力をあわせて挑むのですが、記憶が食い違ったり、自分の知らないことを相手が知っていそうだったり、彼らをとりまく世界のピントが、少しずつ、でも確実に歪んでゆく不穏さが絶妙です。
目の前の扉がどんどん開いていくような疾走感のある筆致に導かれ、無我夢中で読み進めていく先に待ち構えるのは、何が正しくて真実なのかが曖昧な、虚実入り乱れた“呪い”の世界。ぜったいに何かがおかしくて狂っているのは間違いないのに、肝心のそれが、どうしても思い出せない。んんん・・・???お互い疑心暗鬼にかられながら、それでも、自分の心の動きに正直に、眼前にあらわれる世界と真っ向から対峙しようとする高校生たちがとってもチャーミングです。
作者が自分の物語の登場人物たちに息を吹き込むとき、どんな意図をもって名づけたんだろう、とよく想いをはせるのですが、本作でも「名前」それ自体が固有の磁場を持つ、重要な鍵になります。物語が入念に、二重底にも三重底にも入れ子構造になっていて、叙述トリック的な仕掛けも周到に埋め込まれているので、読了後、思わず最初から読み返したくなってしまうこと間違いなし。
じわじわまとわりつくような怖さとエモさが見事に融合した青春ミステリの感想を、ぜひみなさんと語り合いたい!
(M)
この作品、あえて一言でいうと「凄い」。
これに尽きます。何が凄いってのは実際に読んでもらえればすぐわかると思うんですけど、物語の吸引力というか、続きが気になってページめくる手が止まらないんですよね。
つまりリーダビリティが物凄いんですよ。私、web小説ってのは手軽に空き時間に読めるのが良いって思ってたんですけど、もう見事にこの作品にハマってしまって、読み始めてからずーっと読んでました。終わるまで。それくらい、「凄い」作品です。
キャラの立ちぐあいとか軽妙な会話とか物語の謎とか、ふんだんにちりばめられていて、もうとにかくエンタメとして完璧に面白い。
さぁ、何を読もうかなとお迷いの貴方様。これを手に取らない手はないですぜ!
おれたちは同じ夢を見ているらしい。
それを起点に走り始める物語。ならば夢の中で集合してみようか、という話になるのですが、暗く薄気味悪い夢の世界を知れば知るほど、謎はどんどん深まっていきます。いったいこの世界はなんなのか。
ふうむ、どうやらこれは桃太郎。
桃田を主人公に、猿、犬、雉を引き連れて、鬼を退治しなければいけない物語。
だけどちょっと待て、何かがおかしい。何かが歪められている、それは夢の世界だけではなく……。
ゆえに決して元の物語通りに終わらないこの話。結末は是非ご自身の目で確かめてみてください。
会話シーンの進みがとても自然で、すらすらと読み進められる一方、ところどころに挟まれる比喩もすごく綺麗に飾られていて、様々な面で楽しめる一作です。
オススメです。
すごいです。
もうこの一言。
途中まで読み進めて、あれあれ? これは夢と現実が? どこが境? と読者が混乱してきたかと思えば、
中盤でまさかの展開!! そんなことってあり?!
しかしここで終わりではありません。
どこまでも、どこまでも、2度でも、3度でも、いや数えるのやめましょう。
とにかく、こちらの予想がつかないのです。
予想をつけたら負けです。素直に驚かされましょう。
興奮して書いてしまいましたが、
文章の描写、会話、どれをとってもバランスが良いのでとても読みやすい。
そしてキャラクターの性格が引き立つ言葉遣い(そしてそのキャラクターたちが実は……おっと失礼)!
さらに入りくむ迷宮のようなストーリーの網の目、それが回収されていってラストかと思えばまだまだ次から次へと続くんです!
びっくりドッキリ、絶対にしますから! 幻想街へ、いきましょう。大丈夫、きっと多分、あなたも、無事に……
帰れないかもしれません。竹神さんのお話の魅力に襲われて。
高校生の桃田は不思議な夢を見ます。どことも知れぬ街を何かを探して走る、走る――そんな夢。
夏休みがあけて友達の拓海に再会し、なぎさという少女に出会い、そして偶然に知るのです。三人は「同じ夢を見ている」と。
そこからはじまるのはホラーミステリー、それでいて登場人物の会話にはくすりとさせられることもあり、ホラーが苦手な人でも楽しめるかと(一部流血があります)。
キャラが非常にそれぞれ立っていて、一人一人が印象に残ります。
何が本当で何が嘘なのか。登場人物たちは『桃太郎』に由来する名を持つけれど、その意味は何なのか。
推理しながら、時には登場人物の掛け合いに笑って、時にはホラー演出に怖がり、様々な魅力がぎゅっとつまった物語があなたを待っています。
ところで。あなたは<鬼影の呪い>を知っていますか?
知らないなら――これから彼らと一緒に、呪いを味わってみませんか?
17万文字と感じないほど読みやすいので、まずはページを開いてみて下さい。
この冬一番のミステリー巨編『幻想街の鬼退治』が完結を迎えました。コメディとして、ラブコメ恋愛モノとして、鬼退治の冒険活劇として、そしてもちろんホラーとしても優れた本作ではありますが、私が一番推すのは、ミステリー要素ですっ!
本作の謎解きは難解を極めます。その原因は、現実世界や自らの記憶さえも『鬼影の呪い』の影響によって歪められ、何が正しいのか、真実であるのかがまったくわからないのです。
正直、私自身は、
『呪いで何でもありなんだから、考えるだけムダじゃ〜ん!』
と、思考を停止させていた時期もありました。ただ、それはもったいなかったな。
実際には、随所に伏線が張り巡らされていて、『後出しじゃんけん』的なズルい謎はなかったように思います。
考えれば謎は解けるっ! ……かもしれません。でも相当ハードで難解よ? 私の頭は難解(何回)ショートしたことか。脳細胞が活性化されてたら嬉しいんだけれど、脳細胞が半分くらい死んだかもしんない。
この小説は、キャラクターが個性的で魅力的でね♪
個人的には、ホラーヒロインの子が良い♡(名前は伏せます) 結構ヤバいところがあって、ぷち『貞子』さんですか! ……的な場面もあったり、なかったり。
このホラーヒロインは完全には退治されてなくて、読者の要望が多ければ、いつでも復活して、さらなる呪いを仕掛けてくることでしょう。
取り敢えず私は、続編希望に一票入れときますね。
あ〜、この作品、読者選考突破してほしいな〜☆
小説として薄っぺらい、しょーもない小説もどきが営業活動によって通って、本作のような読み応えのある作品が通らないのであれば、カクヨムというサイトの恥ですよ?
竹神チエ先生を国会に! 皆様、清き一票をお願い申し上げます。
竹神チエ先生、完結お疲れ様でした。
ホラーヒロインの子がどうなるか、ちょっぴり気になりますけれど、概ねハッピーエンドでしたね。本作が多くの方から支持を得られるよう祈っております。
夢の中で、高校生の桃田はいつも同じ街を走っている。恐怖に追われるように、いつも誰かを探している。何度も何度も繰り返し見る夢。たかが夢だと思っていたのだが、ある日、桃田のほかにも同じ夢を見ている友人たちがいるとわかって……?
呪いによって変わってしまったらしい世界。二重の記憶。つきまとう違和感。現実はどこにあるのか。今の自分はほんとうに自分なのか。現実も記憶も、信じられるものがなにもない。
それは登場人物たちだけでなく、読者もおなじ。すぐそこにありそうな真相がわかりそうでわからない。届きそうで届かない。指先にふれたかと思ったらするするスルスル逃げていく。
はたして『鬼影の呪い』とはなんなのか。呪いをかけたのは誰なのか。呪いを解いた先に待つものは。
ラブコメで青春でミステリーで、そしてジャンルはホラーです。ちゃんとホラーです。話が進むにつれて、えーとか、うわーとか、ひぃーとかなるびっくりポイントもひそんでいます。桃太郎メンバーのほか、猫もいます。
喜怒哀楽、いろんな感情をもらえる物語。ぜひご覧ください。
奇才竹神チエが描く、全世界を震撼させる大作ホラーがここに完結!
【――あの夢を見ている】
幻想街――桃田は全力で走っていた。行き交う人々の間を縫い、何かを探し、何かを思い出すように。
そして、覚める……
【みんな同じ夢を、見てる!?】
桃、猿、雉……そして、なぎさが顔を見合わせる。
幻想街。何かに引き寄せられるように集められた四人。それはまるで、御伽噺のように。
【――俺たちの目的は?】
深まる謎。絡み合う人間関係。
記憶が、過去が、現在と絡み合い、桃田の行く手を阻む。
何を信じるべきなのか、わからない。
【俺が――俺が好きなのは……】
過去に飲み込まれていく、現実。
現実を書き換えていく、過去。
塗り固められた嘘と、朧気な現実が交差する。
【にいに?】
【好き好き好き】
【失恋したぁぁ】
【犬は?】
【から揚げ食べたじゃん】
【から揚げ……】【から揚げ】【から揚げ】【から揚げ】【プレーンの】【から揚げ】
【食べたじゃん……】
――幻想街の鬼退治
貴方はこの恐怖に耐えられるか――
Now showing……
「貴様の妹の命はもらう。ふはははは」
「にいに。キモイ電話だよ。切っていい?」
妹が電話を放り投げる。
桃田は慌ててそれをキャッキした。
桃太郎なんですよ、桃太郎。
だって主人公が『もも』で、雉も出てきて猿もいて。
でもね、犬がいないんです。そのかわりに鬼がいる。めっちゃ可愛いヒロインのなぎさちゃん。えっ、でも『鬼』だし。この子を倒すの?
そう思うじゃないですか。
あとは犬だよなぁ。犬がそろったら鬼を倒すのかなぁって。
違うんですよ。
1話読む度に「えええ、そう来る?」と驚かされ、時に「ちょ、お前、からあげ小僧!」と突っ込み、時に「ホラー、キタ――((( ;゚Д゚)))――!」と怯え。コメント欄も大騒ぎです。
そして最後には熱い熱い友情!!泣く!!これは泣く!!!!
こんな桃太郎読んだことないです。
完結しましたんで、一気読み出来ます!
ぜひぜひ!!
結論から言うと気持ちよく騙されました。
まあ、毎回毎回騙された、というか予想外の展開に振り回されたというか。
主人公である桃田くん、彼は桃太郎の役割なのに情けないし優柔不断。
強いて言うなら優しさだけが取り柄の少年。
脇役の猿川や猫のキビちゃんの方がしっかりしています。
しかし、そんな優しさがキッカケでトラブルを招くことに……。
ホラーと謳っていますがラブコメ要素とキャラクターの魅力がかなり強めです。
もちろんホラーなので怖いところはしっかりと怖がらせてくれます。
とにかくこちらの予想の数段上を軽く行く物語でした。
後は読んでのお楽しみ、ということで。
ホラーのジャンルを持ちながら、物語の序盤はクスクスと笑ってしまいます。
主人公でありながら、やる気を感じられない皮肉気で受け身のモモ。
その主人公を食ってしまう勢いで、笑わしてくれる唐揚げ王子。
鬼の名前を持ちながら、ヒロインの座をまっしぐら、行動力でみんなを引っ張るなぎさ。
真のヒーロー登場、颯爽とあらわれた猿山。
可愛さ満点、こんな妹なら是非に欲しい、モモの妹のゆいちゃん。
序盤の登場人物は、この5人。
しかしながら、すべては鬼影の呪いで作られた嘘なのか! そう思えば、あれは? これは? 次々に疑問が浮かんできます。
ユーモアが溢れる文章の中に、隠された真実とは何か!
ただ今、クライマックスに向けて、笑いを振り撒きながら爆走中です。(ホラーだけど……)
ヒマがなくても、読むべしっ!!( ̄- ̄)ゞ
高校生の桃田は同じ夢を見る。何度も何度も繰り返し。
あるとき失恋した友人・雉島と話をする際、以前夏祭りで助けたなぎさと出会う。
そして三人は同じ夢を見ていることを知るのだが……。
連載中15話まで読了時点のレビューとなります。
有名な昔話「桃太郎」をモチーフとした、まったく別の物語。
しかもホラーとのことで興味をもって読み出したところ……。
これがビックリ!
ラブコメのように軽快に始まり、夢を共有するあたりからじわじわと「鬼」の気配が迫ってくる。
そして途中から出てくる猿川が、この不思議で不気味な世界のことを良くしっており、鬼との戦闘も颯爽としてカッコイイ!
まだまだ謎に包まれていますが、最後の犬が揃ったとき、いったいどんなことが起きるのか。
鬼退治はどうなるのか、最後はどこに終着するのか、楽しみでなりません!
最初は、ラブコメだったのです。
ホラージャンルなので、一応気をつけて、
「どこにホラーが隠れてるのかな?」
と、ドキドキしていたのですが、
雰囲気は、ラブコメのようだったのですよ。
ええ。
「もも」とか、「にいに」とか、
単語もとっても可愛くて、
「可愛いな」
「なんか青春しているな」
みたいな、
楽しさがあったのです。
その、楽しい青春物語の中に、
「あれ?」
って、不思議な感じもあって、
「これはホラーだもんな」
「でもまだ、こわくないはず」
って、思ったり。
でも、夜中に読んでいると寒気がして、
「寒い冬だからだ」
と、呟いてみたり。
でもね、でも、
怖くなってくるのです。
じわり、じわりと、夢の中に出てくる
よくわからない影のように
灰色の街で、誰かにこっそり見られているように
たくさんの影に
気づけば囲まれ……
ているように
ここから戻れる?
この恐怖の世界から?
あなたは、モドレル?
コノ、セカイカラ――
なんて、妄想ですけどね。
そんな、じわりじわりとしたモノを
感じるのです。
これからもドキドキしながら、
読もうと思います。