第11話 高男子力男子と火おこし
さて、どうにか河原に着いたわけだが、タイヤ交換なんてしてたもんだから、他の人達はもうとっくに到着していて、思い思いに楽しんでいた。
万年係長は早速釣りをしているし、女子力をたぎらせまくった女性社員はお目当ての男性社員の口に手作りおにぎりを押し込んでいる。
それは良いんだけど――、
誰もBBQの準備をしていないのである。
何なら道具一式を持ってきたくれた山田さん(既婚者)も「いつも火おこしは旦那だし、私は道具を持ってきてくれれば良いって言われたから」と鉄板やら何やらをシートの上に放りだして後輩の女の子と談笑しているのだ。
しかし、案ずることはない。
もう読者の皆さんもおわかりだと思うが。
そう、彼がいるのである。
男子力の百鬼夜行、
どこのメーカーかもわからないくらいに使い込まれているグリルを組み立て、炭を入れ――と、「手伝おうか」と僕が3回くらい申し出たのを軽く無視して、あっという間にそれは完成した。もういますぐにでも肉を焼ける状態である。
こうなると、さっきまで思い思いに自由行動していた社員達もわらわらと集まってくる。そして、肉やらソーセージやら、そして肉やらを焼いていくのだ。
さすがは細川君。
立派に火をおこせてこそ男子だとその背中が語っているようだ。
「食え」
そして、僕の皿に乗せられるどこ産なのかはっきりしない牛肉。中は少しレア。うーん、僕は中までしっかり焼けてる方が……って、細川君、君が食べてるのまだ全然焼けてなくない? 火にさっとくぐらせただけじゃない? しゃぶしゃぶじゃあるまいし!!
真の男は血の滴る生肉を食べてこそってこと?
いや、お腹壊すから止めなよ、細川君!!
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