第2話 高男子力男子と万年係長

 身体の厚みが半端ない細川ささめかわ君は、学生時代、ラグビー部に所属していたらしい。道理で首回りも太いはずである。あまりの太さにワイシャツは特注だし、通常の長さのネクタイでは、とんでもない短さになってしまう。だからネクタイも恐ろしく長い。実はこれ、本当はふんどしなんだってエイプリルフールに言われても信じるレベルだ。


 以前飲みの席で社長石やしろながし係長が酔った勢いで細川君のネクタイを奪い頭に巻こうとしたが、あまりの長さにミイラ男みたいになったこともある。

 ちなみに社長石係長は名前だけなら『社長』なんだけど、この道ウン十年のベテラン万年係長で、万年係長のまま定年を迎える予定の云わば係長のプロだ。


 古き良きバーコードスタイルの頭に、いつもちょっと汚れている眼鏡、それからシワの寄ったワイシャツ。これぞ窓際族と周囲が唸るレベルのダメ社員ぶりを醸し出している、れっきとしたダメ係長である。


 しまった。

 細川君の話じゃなくて係長の話になっちゃった。

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