第4話 高男子力男子の持ちもの
「おはようございます」
僕のようなガリヒョロモヤシにとっては最早目の毒とも言えるレベルのムキムキマッチョ、
なぜってそれは、彼が手ぶらで出勤するからだ。
いや確かに。
いまは昔より個人情報の取り扱いも厳しくなったから家に仕事を持ち込むことは出来ないし、個人PCの持ち込みも禁じられているから手ぶら出勤だって出来ないことはない。
だけど、スーツを来た成人男性が手ぶらで満員電車に揺られている様を想像してみてほしい。お前は手ぶらでどこに行くんだ、と思うだろう。かっちりスーツを着た手ぶらの男が、かっちりスーツを着て鞄を持った野郎共に囲まれているのである。ランドセルを忘れた小学生ならカンカンに怒ったお母さんが届けに来てくれるけど、さすがにそんなことはない。だってそもそも細川君は自らの意思で手ぶら出勤をしているわけだから。
財布はお札とほんの少し小銭が入る程度の薄いやつ、それからカバーも何もつけていないスマホをジャケットの内ポケットに入れ、胸ポケットには数本の筆記具。とはいえ、筆記具はデスクにもあるので、それはほぼ使わない。社員証は首から下げ、個人情報がバレないようにジャケットの中に入れている。
そんな姿で彼は毎朝出勤してくる。
ただ、この間、ベルトループに十徳ナイフがひっかけられているのを見つけて驚いた。プライベートはまだしも、会社でそんなもの何に使うの?! と思ったけど、我が一係のボス、
ていうか、出張土産でワインのチョイス。
これが彼が係長どまりである所以である。
あっ、僕ったらまた係長のどうでも良い駄目エピソードを!
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