第6話 高男子力男子の下の名前
そういえばすっかり忘れていたけれど、
残念、それは『ゆう』ではない。『まさる』や『すぐる』でもない。
『やさし』である。
こんな優しさがどストレートに伝わってくる名前もそうそうないだろう。
『やすし』のようで『やすし』ではなく、
『まさし』のようで『まさし』でもない。
――『やさし』。
ぜひとも声に出して読みたい美しい名前である。ただちょっと、本当に優しすぎるというか、なんというか。いや、細川君は事実優しいんだけど。そうじゃなくて。
僕としては『
でも、そりゃあ産まれた直後はこんな未来なんて想像出来なかっただろうし、線の細い儚げな美少年になる可能性だってあるわけだから。
でも、ひとつ言わせてほしい。
細川君のご両親はどちらもバリバリのアスリートで、お母さんはレスリングの元日本代表だし、お父さんは怪我で代表落ちしたものの、ラグビーのトッププレイヤーだったのだという。
しかも、それだけではなく、彼のおじいさんはシニア枠の現役ボディビルダーだし、唯一華奢に見えるおばあさんですら薙刀の師範でまったく油断出来ない。
さらに、同居している家族のみならず、親戚もだいたいが何かしらのスポーツでそれなりの成績をおさめているらしく、ご先祖様をさかのぼれるだけさかのぼっても、似たようなものだった。
だからつまり、何が言いたいのかというと――、
いや、この未来、結構容易に想像出来たよね? って。
たぶん、線の細い儚げな美少年は、ご先祖様を総動員しても無理だったよね? って。
ただ、男子力というのは『相手への優しさ』から生まれるものなのだと最近気が付いたので、やっぱり細川君は『
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