時と天をテーマに描く、硬派で美しいハイファンタジー

 海に面した強国テハイザと友好条約を結ぶべく訪れたのは、シレアの王位継承者である第一王子カエルムと従者ロス。しかし、テハイザ城にある国の宝『天球儀』に異変が起こり、おなじころ自国シレアでも国唯一の『時計台』に異変が起こっていて――?

 飄々とした王子カエルムと苦労のたえない従者ロス。阻まれる王との謁見。時と天。国と人。壮大なテーマをあつかいつつ、地に足のついた描写と緩急のバランスが心地いい、硬派で美しいハイファンタジーです。そして、カエルムたちのお世話係としてつけられた少女スピカがとてもかわいい。

 ちなみこちらは、シレアの王女が主人公の『時の迷い路』とおなじ時間軸で展開する姉妹編になってます。どちらも独立した長編として読めますが、あわせて読むと、後半は特に場面場面のつながりが見えてきて、なんだかテンションあがります。興味のある方はぜひ姉妹編のほうもご覧ください。

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