疾走感に身を任せるのも、いいかも知れません

 イケメンに弁当を食べてもらうために、昼休みの学校を女子が疾走する、将来の婚約のために、と纏めると、ドタバタ劇になってしまいますが、それに収まらない勢いがある物語です。

 主人公の一人称で進む物語は珍しくないし、その文章が感情的であるのも珍しくはないのですが、そこにある感情の揺れ幅が他に見た事がない程の激しさでした。

 その勢いに引きつけられます。設定やストーリーも、ひとつひとつ見ていくと粗も、共感できない、理解できない事もあるのですが、それを全て些末な事だと断じられる程の、文字通り剛よく柔を制す文体が躍りかかってきます。

 作中で語られる「女子たるもの、野獣であれ」という言葉、まさに物語の全てを表していると思います。

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