過激な描写から幕を開けるダークファンタジー

 物語の始まりが凄い。

 小説で大事な要素とは早い段階でいかに興味を持ってもらえるか、と自分は考えているのだが、そういう点でこの小説は一文目で私の興味をさらっていった。

 登場人物の心理描写が事細かに描かれている。感情移入がしやすい一方、誰に自分を重ねれば良いのか迷ってしまう。選択肢は二人……兄か弟か。それは読む人の自由なのかもしれない。

 話の展開が奇抜、でも読みにくいわけではない。時間の流れに沿って物語が進行していく、というのが王道の書き方だと思うが、この小説は違う。ある程度横線を描いたら、また違う方向から線を引いていく。その線が上手い具合に絡み合っていくので、こんな小説の書き方もあるのか、と感心させられた。

 ダークファンタジー……色で言えば『黒』。

 この独特な世界観に皆さんも迷い込んでみてはいかがでしょうか?

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