心の在り方を考えさせられる作品だった。
あらすじにもある様に、題材はアンドロイド。高い知能を有した人間型のロボット。
そう、有しているのは高い知能なのだ。感情ではない。つまり、心があることなどありえないのだ。
だが、この作品を読んでいるとそういった"常識"が見事に打ち砕かれそうになる。
ストーリーは主人公の少年とそれに寄り添うホームアシスタントアンドロイドの日々をつづったもの。彼はふとした拍子にアンドロイドの歌声を聞き、それをもう一度聞くことを強く願ったが、アンドロイドは頑なに歌おうとはしなかった。
その理由こそ、この物語の核であり、心が惹きつけられるエッセンス。
心を持つ人間が作る心を持たないアンドロイド。だが、心を持たせたかったのだ。だからこそ、彼らは自分達の理想の心を生み出し、アンドロイドに搭載した。人間の汚い部分を排除した美しい心を。
これは全て私の妄想だが、そう思わせるほどにこの作品に登場するアンドロイドは温かな心を持っていた。
この作品の魅力は読み終えた時に私の頬を伝う涙が全てを物語っていたと思う。
皆様も、是非この優しくも切ない物語を読んでみてはいかがでしょうか。