煙と胡瓜

１９世紀前半、ヨーロッパのとある地方都市、不荒緑。
小国の首都でしかないこの街にも、産業革命の煙や市民革命の熱が届きつつあった。

ギャンブルと投資三昧の放蕩生活を送る男装の麗人ジャクリーヌは、
変わりゆく街並みに郷愁を覚えつつ、友人から興味深い広告を見せられる。

　求ム　年金拠出人

広告主である貴族曰く、
『後継ぎを事故で全員失い、後先もわからない。
　年金を都合してくれるのなら、代わりに土地を相続する』

貴族が長生きすれば、土地を手に入れる前に多額の年金を払わなければならず破産する。
貴族が早死にすれば、土地が安い値段で手に入る。

ジャクリーヌの財産が尽きるのが先か。
貴族の命が燃え尽きるのが先か。

ジャクリーヌは貴族との命を賭けたギャンブルに挑む。